愛知県内陸部の一宮市にありながら、産地直送の新鮮な魚を売りにしているスーパーがあります。各地の漁港から新鮮な魚を仕入れられる秘密とは。
海も港もないのに「一宮漁港」と呼ばれる理由

岐阜県との県境、愛知県の内陸部にある一宮市。周りに海はありません。しかし、市内にあるスーパーの奥に並んでいたのは、3つの大きな水槽。いけすです。
店頭には新鮮な海の幸が並び、まるで漁師町の市場のよう。

店のSNSには、その日に入荷した珍しい魚がずらり。ヒシダイは定番の塩焼きで。キホウボウのおすすめは唐揚げ。トウジンは煮付けがおいしい。地元ではあまり見ない魚を目当てに来る客もいるそうです。
常連客:
「変わった魚もあって、店長さんが『こうやって調理するとおいしいよ』と教えてくれるので、ちょっと試してみようかなと思います」

「綿半フレッシュマーケット平島店」は、別名「一宮漁港」。ただ、周りには海もなければ、港もありません。

綿半フレッシュマーケット平島店 北澤濃ストアマネージャー:
「運営元の綿半が長野の会社で、海がないので魚への憧れがあり、『おいしい魚を食べたい』という思いがあった。とにかく新鮮な魚を一宮のお客様、この近隣のお客様に販売したかった」

綿半グループは、長野、山梨、それに愛知の内陸部でスーパーマーケット事業を展開。全店にいけすを完備するなど、鮮魚の品揃えが充実しています。
特に平島店のこだわりは産地直送です。
綿半パートナーズ 竹田浩幸バイヤー:
「一色漁港から直接仕入れを行って、その日のうちに魚を仕入れられるというのは、非常に鮮度という部分ではメリットがあると思います」
午前3時の買い付けに密着

午前3時、三河一色漁港に到着。この日のお目当ては……。
綿半パートナーズ 竹田バイヤー:
「アジになります。狙いとしては、これくらい大きいサイズのところを」

そして水槽の中はキジハタとカサゴ。2台の水槽に入れて、生きたまま運びます。漁港で直接買い付けるからこそ、手に入る魚もあります。
綿半パートナーズ 竹田バイヤー:
「卸売市場の流通のところでもアジは当然あるんですけれども、あのデカいサイズといったようなアジは、なかなか一般のスーパーのところでは取り扱いがない」
強みは「高速道路の交差点」という立地

平島店は現在、全国5箇所の漁港から直接魚を仕入れています。これを可能にしているのは、店の立地に秘密があります。
一宮市は、東名・名神高速道路と東海北陸自動車道が交わる高速道路の交差点。東西南北に伸びる高速道路を駆使することで、海のない内陸の地に新鮮な魚を届けているのです。

午前8時、漁港で買い付けた魚が到着。開店の1時間前に間に合いました。
この日イチオシの、大ぶりのアジは1匹756円で売ることに。静岡の漁港から仕入れた珍しい魚に、北澤ストアマネージャーも目を留めます。
綿半フレッシュマーケット平島店 北澤ストアマネージャー:
「ウチのバイヤーさん、メヌケ珍しいね」

海から遠いという不利を逆手に取った戦略で、平島店の売上は一宮漁港を名乗る前の、およそ1.2倍に。今後さらに、漁港とのネットワークを広げたい考えです。

綿半フレッシュマーケット平島店 北澤ストアマネージャー:
「もっともっと魚を知ってもらい、魚のおいしさを伝えたいです。日本には多く漁港があるので、そういったところと提携したり、バイヤーにもいろいろな魚の仕入れをもうちょっと増やしてもらったり、いろいろ挑戦していきたいです」
地産地消への新たな挑戦

この取り組みについて、日本経済新聞社の山名直花記者は次のように分析します。
日本経済新聞社 名古屋支社 山名直花記者:
「地元のベンチャー企業がサクラマスの陸上養殖を成功させ、この店でも今年5月から一宮産のサクラマスとして仕入れを始めました。全国各地の漁港からの産地直送に加えて、こうした地産地消につながる新たな商材も取り入れることで、内陸部の消費者の需要をさらに喚起したい考えです」
漁港から仕入れた新鮮な魚を使ったお惣菜の販売にも力を入れていて、魚の切り身を贅沢に使った漁師のお茶漬けやカツオをわらで炙ったわら焼きも特に人気だということです。


