「真の被害者遺族になれた」容疑者逮捕から1週間 被害者の夫の思い 名古屋・西区主婦殺害事件

26年前に起きた名古屋市西区の主婦殺害事件。容疑者の女が逮捕されてから1週間。これまでの捜査で分かったことは? 被害者の夫の思いは…
26年の沈黙を破り、10月31日に逮捕された安福久美子容疑者。
警察によりますと、1999年11月、西区のアパートで高羽奈美子さん(当時32歳)の首を刃物で刺すなどして殺害した疑いが持たれています。
「居間には入らず逃げた」(安福容疑者)
奈美子さんは玄関からつながる廊下と居間の間で倒れていました。
捜査関係者によると、安福容疑者は「居間には入らず逃げた」という趣旨の供述をしていて、短時間で現場を離れた可能性もあるとみられています。
また、安福容疑者は、事件の際に負った手のけがについて、「病院を受診しなかった」趣旨の供述をしていることがわかっています。
警察の調べに容疑を認めていますが、一方で。
「家族や親族に迷惑がかかるから逮捕されたくなかった」(安福容疑者)
事件後も、当時勤務していた会社でしばらく働くなど、逮捕を恐れて、目立たないように生活を送っていた可能性もあります。
詳しい動機については、明らかになっていません。
被害者の夫、悟さんや関係者などへの取材で、安福容疑者は、学生時代、悟さんに好意を寄せていたとみられることや、事件の5カ月前、同窓会で再会していたことがわかっています。
安福容疑者と奈美子さんに面識はなかったとみられていて、警察は、安福容疑者の動機や、現場のアパートの住所を知った経緯などを慎重に調べています。
「全部の肩の荷が下りた」

奈美子さんの夫の悟さん。26年後の容疑者逮捕の一報を受けてから、7日で1週間となります。
「26年前の自分には、みんな助けてくれるから、本当に前を向いて一生懸命やればいいことがあるよと、いつも声をかけてあげたいなと、いま振り返ると思うので、不安で不安で仕方がない毎日だった。全部の肩の荷が下りたので」(高羽悟さん)
悟さんは、事件発生直後からこれまで情報提供を呼びかけるチラシを配るなどして容疑者が逮捕される日を待ち望んでいました。
現場となったアパートは、血痕や足跡が残されたままです。
事件現場となったアパートの賃料、2200万円以上を支払い、借り続けること26年。
11月1日、安福容疑者立ち会いのもと、現場検証が行われました。
供述も徐々に明らかになり、思いにも変化

「被害者遺族になれたなという感じですね。それまでは犯人を捕まえないといけない中途半端な立場だったんで、やっぱり被害者遺族といっても、容疑者が捕まった遺族と未解決事件の遺族は違う。やっと真の被害者遺族になれたなという感じはしています」(悟さん)
「26年というのは毎日不安だった。報道も見られなかった。事件発生日になると悩んで、気持ちも落ち込んで沈んだ」(安福容疑者)
安福容疑者は、悟さんの高校の同級生。
供述も徐々に明らかになってきました。悟さんの思いにも変化が。
「最初はちょっと意外過ぎてあまり怒りが湧かなかったのですが、安福容疑者の供述が漏れてくると、だんだん身勝手なことを言っているなという感じはしたので、少しずつ裁判で徹底的にやるかという、怒りが湧いてきている段階」(悟さん)





