
“退職代行サービス”の利用者が急増中 「煩わしいことが一切なく解決した」GW明けに相談殺到の実態

本人に代わって勤め先に退職の意思を伝える退職代行サービス。ゴールデンウィークが開けると一番忙しくなるという、このサービスについて掘り下げます。
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退職代行サービスを利用した20代男性。営業の会社で3年ほど働いてきましたが給料などの待遇面に納得できず、ことし2月に退職の意思を伝えました。しかし…。
(20代男性)
「話し合いになって、辞めさせてもらえるような雰囲気ではなく、引き止めがあった」
そこで退職代行を頼ってみると、昨年度の3月で退職することに。円満とは言えないまでも、退職金や有休消化も問題なく辞めることができました。
また、運輸関係で長年働いていた50代男性は…。
(50代男性)
「(1か月の残業は)実質100時間を超えていました。そのような状態が続いていて、心的にも窮屈な状態だった」
男性は「退職する」と自分で会社に伝えましたが…。
(50代男性)
「辞めると宣言した、その場で『お前の顔見たくないから明日から出てくるな』とか。正直『鬱(うつ)製造機みたいな上司で、何人も『鬱』になった。それなら退職代行に言ってもらった方が、引き止めにブレーキがかかる。とにかく心理的負担を改善したかった」
そこで頼ったのが名古屋市にある退職代行会社「やめるもん」。男性は無事に退職できました。
ゴールデンウィーク明けの朝一番に電話が
(やめるもん 橋本貴弘社長)
「4月の中旬から(退職依頼が)増えているので、ゴールデンウィークを挟むことで5月末まで急増するのではないかと」
ゴールデンウィーク明けの今月7日、朝一番で電話をかけてきたのは、やはり運輸関係で働く50代男性。仕事上のストレスで体調不良が続き退職を考えていると言います。
(スタッフ)
「退職希望日は、お決まりですか?」
(依頼者)
「明日は勤務ですが、明日行くのも厳しい」
また、飲食店で働く50代女性からの依頼では…。
(50代女性)
「元々、入院していて体力が持たなくて。(退職の意思を)伝えたら却下されてしまって」
(橋本貴弘社長)
「その旨も(会社側に)しっかり伝えます」
なぜ退職したいのか、なぜ依頼したのか、詳しく理由を聞き取り、会社に電話することに。
会社とは直接話すことなく退職へ
(スタッフ)
「本日以降、出勤できない旨と、そのまま退職をさせていただきたいという意思を伝えさせていただいております」
依頼した本人に代わり会社に退職の意思を伝えると…。
(会社側)
「なぜ本人が言えないのですか。意味が分からないですね。言いにくいんだね、だから代行なんだね」
突然の電話に戸惑いつつも電話1本5分で退職の話がまとまりました。この後、依頼主が退職届を会社に郵送するだけ。会社とは最後まで直接話すことなく退職します。
また、別の退職代行のケースでは。
(会社側)
「出社の意志もない?」
(スタッフ)
「本日より出社が無理で、そのまま退職したいと」
会社側の戸惑いも聞かれますが、あくまで淡々と進みます。
(会社側)
「(有給休暇は)8日なので」
(スタッフ)
「退職日が5月※日ですね」
「まさか自分の会社の社員が…」
「やめるもん」は去年の11月から代行を受け付け始めましたが、すでに70件も依頼が入り、今も右肩上がりで伸びています。代行1件1万9800円。顧問弁護士もついていて、有休消化や退職金の金額など、依頼者に少しでも有利に退職手続きをまとめるのがセールスポイントです。
依頼は電話だけではなくメールでも寄せられます。
(不動産関係30代男性)「アホ、バカ扱いされる」
(事務職30代女性)「ひと月の給料が最低雇用賃金に達していなかった」
(医療従事者30代女性)「布団から出られない、鬱(うつ)」
退職代行の相談は4月からゴールデンウィーク明けの約1か月で13件。うち9件で実際に退職手続きを行いました。
従業員が退職代行を使って辞めたばかりだという会社に聞くと…。
(アメイズプラス 山本良磨 社長)
「最初はショックだった。退職代行という言葉は知っていたが、他人事と思っていた。まさか、この会社が(退職代行を)使われるということは全く想像していなかった。従業員と面談の時間を増やしたり、悩んでいることはないかというヒアリングの時間を多くとるように改善している」
転職希望者が増える中、注目される退職代行サービス
退職手続きを代行業者に依頼する、この退職代行サービス。国によると転職希望者はコロナ禍が落ち着いた後、右肩上がりで。一昨年には初めて1000万人を超えました。
(依頼者)
「煩わしいことが起こることが一切なく解決できた。ありがたい」
(依頼者)
「心が軽くなりました。これまで自分が悩んでいたのが、うそのようになくなったので。もっと早く利用すれば良かったと思います」
今や人口減少、人手不足の売り手市場。心を病んでしまう前に気軽に再出発できる退職代行は今後も伸びていきそうです。