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避妊・月経痛を軽減 腕に埋め込む4センチの“白い棒” 100か国以上で処方…しかし日本は未承認 ピルとは違う成分で血栓症のリスクが低い

CBCテレビ
11.30(日)07:02

女性の生活や生き方を変える可能性もある「皮下インプラント」。

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「外側から見ると、あまりわからないと思うんですが、ぐーっと押すと…」

女性の腕には“小さな棒”が埋め込まれているんです。腕に埋め込まれているのは、長さ4センチほどの白いピンのようなもの。これは「避妊用皮下インプラント」。

一旦埋め込むと、排卵を止める黄体ホルモンを少しずつ出し続け、3年にわたり妊娠を防ぎ、月経痛を緩和するなど効果があります。

避妊インプラントは、ピルとは違う成分のため、血栓症のリスクが少なく飲み忘れの心配もない。授乳中や喫煙者も使える方法として、100か国以上で処方されていますが、日本では承認されていません。

施術時間はわずか30秒ほど

このインプラントの施術を、今年7月から自由診療で行っている名古屋の婦人科・咲江レディスクリニック。

(咲江レディスクリニック・丹羽咲江院長)
「先端のところにインプラントが入っていて、入れるのに(かかる時間は)30秒ぐらい」

この日行われた施術を見せてもらうと…

(丹羽院長)「入れていきます。痛くないですか?」
(患者)「痛くないです」
(丹羽院長)「はい、終わりです。痛かったですか?」
(患者)「痛くないです」

(丹羽院長)
Q.なぜ腕に入れる?
「柔らかいので入れやすいのと、血管や神経が少ないので(避妊インプラントを)入れた時に傷つける可能性が低い。足や腹に比べると衣服で擦れるなどの刺激が少ない場所になるので、日常生活などに影響がないレベル」

「PMSがひどい」「月経前のメンタルが…」

このクリニックでは、これまで10人ほどが施術を受けていますが、希望者のほとんどが月経を軽くするためだといいます。

(Sさん26歳・9月上旬に施術)
「PMS(月経前症候群)がひどくて…。ほかのピルも試したが全部ダメで、諦めていたところで避妊インプラントについて聞いて、すぐに(施術を受けに)行った。(経血の)量が減ったのと、PMSもそんなに酷くないなという感じ」

(Nさん32歳・7月末に施術)
「メンタル的には、鬱に近いぐらい落ち込む。仕事の事とか取り組み方が、ちょっと消極的になったりとか。(やってみて)出血の少なさとかは良かったなと思っている。生理も来ていない」

ほぼ月に一度は、出血や痛み・精神的な不調などがある女性にとって、月経の悩みから解放されるだけで勉強やスポーツ・仕事でのパフォーマンスを上げられるという考え方は、いまや世界的にコンセンサスを得られています。

日本でも、月経に伴う女性の労働力低下などで起きる経済損失は、約5700億円と無視できない金額です。

日本は未承認 施術費用は平均10~15万円

イギリスでは社会保険制度(NHS)によって無料で施術を受けられるほか、韓国では3万円ほど。日本では医師の判断で処方できますが、未承認で保険適用がなく、平均10万~15万円もかかります。

(丹羽院長)
「(日本では)承認まで異常なまでに時間がかかってしまう。ピルの場合も何十年かかっちゃうとか…。女性が自分で自分の身を守ることができるので、そういうものが、もう少し普及してほしい」

咲江レディスクリニックでは、1回の施術は6万円。この価格の実現に力を尽くしているのが、輸入代行を行っている曻真子さんです。彼女自身、避妊インプラントに救われた経験から、日本でも広めようと起業しました。

1年前にタイで知った“インプラント” 「日本で広めるべき」

(シェルパ・曻真子社長)
「PMS(月経前症候群)をすごく重たく感じていて、タイに旅行に行くタイミングがあり、1か月ぐらい滞在期間があったので、『こちらではこういうものがトレンドであるよ』『もうみんなやっているよ』みたいな形で、(避妊インプラントについて)教えてくれたのがきっかけだった。

なので旅行中にそのまま『どこの病院がいいの?』と聞いて入れてもらった。無月経になった。今まで悩まされていたPMSが、全くなくなったという形だったので、『こんなにいいものを、絶対にもっと広めるべきだ』と思って、辞表を出しに行くというスピードで」

導入しているクリニックは日本で約30か所

シェルパでは、輸入の際に「仲介業者の数を減らす」「手数料も最低限に抑える」などして、この価格を実現させています。

(曻社長)
「自分の子どもが生理が始まって生理痛があって、でも学業があってスポーツがあって。そのタイミングで選べる選択肢が、このままの日本だと限られた状態で続いていくだろうなと…。10年後には避妊インプラントが、当たり前に(選べる)社会にしたい」

日本で避妊インプラントの施術を行っている医療機関は、都市部を中心に全国に30か所あまりしかありません(シェルパ調べ 10月時点)。

日本産婦人科医会の公式な見解でも、「月経は必要に応じて止めても問題ない」とされ、積極的に使う標準治療という位置づけですが、承認や普及が遅れている背景には、「月経はあるのが自然」「止めない方が体にいい」という、根拠の薄い定説がいまだに残っている事の表れとも考えられます。

生理痛を我慢すると…「10年後に子宮内膜症になるリスク2.6倍」

(丹羽院長)
「生理痛は我慢すればいいというだけではなくて、若い女性で痛みをずっと我慢していると、10年後に子宮内膜症になるリスクが2.6倍高くなってしまう。我慢するのではなくて、そういうことを知識として持って予防する観点を持ってほしい」

また、曻さんの元には「少子化が進むのでは?」という意見も寄せられると言いますが…

(曻さん)
「自分の性に関することや(子どもを)産む・産まないとか、何人子どもを持ちたいかとかも、世界では女性が自分で選べるのが、当然の権利という考えが広がってきている。必ずしも少子化につながるとは言い切れない」

女性が生き方を自ら選択する助けとなる、小さなインプラント。国内での普及が、期待されています。

CBCテレビ「チャント!」2025年11月25日放送より

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