
“不服”の場合 12月5日に再投票 ウナギを巡る“国際規制”の動きまとめ 今年は「シラスウナギ」の取り引き価格去年の半分 もし“規制”されていたら再び跳ね上がっていた恐れも

ワシントン条約締約国会議の動向などを改めて整理します。
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ワシントン条約とは、絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引を規制して、これらの種を保護しようというもので、規制の強弱によって3段階に分かれています。
今回、ニホンウナギが「商業目的の国際取引が可能:科学的助言などに基づく輸出許可証などが必要」とされる分類に入る可能性がありました。動物保護の観点で言うとキリンと同じで、2007年に既にヨーロッパウナギはここに分類されていましたが、ニホンウナギも含めたウナギの全種類が入る可能性があり、もし入っていたら、「相手国の輸出許可証などが必要」になっていたということになります。
ウナギを巡って EUと日本の意見が対立
【ウナギを巡る主張】
EU:ニホンウナギ・アメリカウナギに絶滅の恐れがある
日本:日本・中国・韓国・台湾で資源管理をしているので、絶滅の恐れはない
EU:ヨーロッパウナギとニホンウナギの外形が似ているので、違法取引される
日本:ヨーロッパウナギとニホンウナギの見分けはつく
真っ向から対立している中で、11月27日に採決が行われ、取引規制案は「否決」されました。12月の全体会合で確定するということです。
否決の理由は何?
10月17日、小泉農水大臣(当時)は「ワシントン条約にウナギ全種を掲載するのは反対。日本の立場への理解が加盟国に広がるように、関係国と連携しながら全力を尽くす」と言っていました。
関係者に取材したところ、農水省だけではなく、外務省・環境省など各省庁一体となって、50か国~60か国にロビー活動をしていたとのことで、それが功を奏したのではないかとみられます。
もし可決されてたら、どうなっていたのか?
心配な点が2つありました。まずは、「規制によって輸入が難しくなる」。ウナギは中国に頼っていて、相手国の輸出許可証が必要になるので、中国が許可を出さないと日本は輸入できなくなっていた可能性があります。さらに、中国もシラスウナギを中南米の国から輸入しているので、これらの国が許可を出さないと、中国も輸入できないと。
次に、「シラスウナギの取引価格」。去年は250万円ほどだったのが、ことしは半値の130万円近くまで下がっています。もし規制されていたら、この価格がまた跳ね上がる恐れがありました。そういう意味では、否決されてよかったというのが関係者の実感としてあると思います。
ただ、また同じような議論が再燃するかもしれないので、種の保存のあり方だけではなく、ウナギの完全養殖の確立を急ぐ必要があるのではないでしょうか。
CBCテレビ「チャント!」2025年11月27日放送より





