
事件から26年後に急展開 DNAが逮捕の決め手に…安福久美子容疑者(69)に“時効撤廃”はどんな影響を与えた?犯罪心理学の専門家の見方 名古屋・西区主婦殺害事件

1999年11月、名古屋市西区で、当時32歳だった主婦の高羽奈美子さんが殺害されました。高羽さんを殺害した疑いで逮捕された、名古屋市港区の安福久美子容疑者は、高羽さんの夫・悟さんの高校の同級生でした。
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何が女を凶行に駆り立て、なぜこのタイミングでの逮捕に至ったのか。犯罪心理学の専門家に聞きました。
(東京未来大学・犯罪心理学 出口保行副学長)
Q.悟さんではなく、奈美子さんを狙ったのはなぜと推測される?
「夫だけではなく、妻に対して負の感情を持っている。本人を襲うよりも家族を襲った方がダメージが大きいのではないか」
「十分調べあげた上での行動だったと思う」
Q.計画的だった?
「いつ何時どういうタイミングで、被害者と子どもが2人きりになるのかを十分調べ上げた上での行動だったと思う。人間は人と対面しながら、人の目を見ながら攻撃するのはなかなかできない。背後から襲うことが多いが、今回のように対面して自分の持っていた凶器で刺すのは、踏み込むと同時に、刺すことを十分に考えた上での行動だったと言える」
事件後も家族といっしょに暮らし、スーパーで事務員のアルバイトもしていたという安福容疑者。一方で警察の取り調べに「毎日不安だった」という供述も。
(東京未来大学・犯罪心理学 出口保行副学長)
「犯罪者は事件をいつ起こしたか、忘れる人はいない。毎日毎日逮捕されることにおびえ、1日たりとも1分たりとも忘れたことはないと思う。それでも、捕まりたくないという気持ちが強いと、平静を装わなければならない。一番身近な家族に知られてしまうのが、一番恐怖だっただろうなと思う。プレッシャーにさいなまれながら26年間過ごしていたと思う」
「ずっと観察したい気持ちが強く、近くに住むことを選択したのでは」
事件当時、現場から10キロほどの場所に暮らしていた安福容疑者。逮捕時に暮らしていた場所も、悟さんの住む場所からわずか2キロの場所でした。
(東京未来大学・犯罪心理学 出口保行副学長)
「近くで生活している方が、捜査がどう動いているのかわかりやすい。ずっと観察していたい気持ちが強く、近くに住むことを選択したと考えられる」
安福容疑者はことし8月以降、警察から聴取を受けていましたが、DNAの提出は拒否。しかし出頭の直前に、提出にようやく応じ逮捕の決め手に。
(東京未来大学・犯罪心理学 出口保行副学長)
「もう話が煮詰まっていることを感じる機会だったのだろうと思う。自分が犯人だとある程度、特定されているから(DNA提出の)要求がくるんだと」
高羽さんの夫・悟さんは事件後26年間、遺族会の結成やビラ配りなど「事件を風化させない」活動を行ってきました。
(東京未来大学・犯罪心理学 出口保行副学長)
「警察だけが自分を追っているわけではない。社会全体がこの事件に注目して、いつ誰が通報するか分からない。非常に大きな効果がある」
“時効撤廃”で「心理的なストレスは一層強まったと思う」
さらに…
Q.2010年の時効撤廃も容疑者に大きな影響を与えた?
「何年間か逃げれば、なんとかなると思っていたものが、撤廃された。逃げ切れることはあり得ませんと。心理的なストレスは一層強まったと思う」
遺族の活動や警察の再捜査によって、26年の執念が結実した今回の逮捕。しかし、安福容疑者がなぜ高羽さん殺害に至ったのか。動機はいまだ分かっていません。





