卵の高騰続く 売る側は価格抑える工夫 スーパーや1日300個使う洋菓子店を取材

お弁当づくりにも、食卓にも欠かせない卵。長く“物価の優等生”と言われてきましたが、高騰が続いています。売る側も工夫を重ねていますが、この先の見通しは?
名古屋市千種区にあるスーパー「サンエース春岡店」では、毎週月曜日と木曜日が卵の特売日。
23日は247円の10個入りパックに、多くの客が手を伸ばしていました。
では、特売日ではない日の価格はどうなっているのでしょうか?
9月3日に取材した系列のスーパーでは279円でしたが――
Q.普段はいくら
「普段だと302円(税込み)。今月上旬に値上げした価格」(サンエース 宮下裕基執行役員)
価格抑える新たな一手

「JA全農たまご」によりますと、名古屋地区の卵の卸売価格は、Mサイズ1kgあたりで平均335円。
5月や6月よりはやや安いものの、去年の同じ時期と比べると、約50円高くなっています。
以前この店を取材した際には、大きさの違う卵を詰め合わせる工夫で価格を抑えていましたが、今回新たな一手が――
「卵の品ぞろえを少し変えてみた。こちら4個入りの卵なんですが、相場が高騰してお客さんが買いづらいので、4個入りの卵を今月から春岡店のみ販売。卵の品ぞろえが10個6個だけではなく、4個入りの比較的に安価なものがあるといいなという声を聞き、試しに販売している」(宮下執行役員)
店を訪れた人は
お客さんが少しでも手に取りやすい価格にしようと、さまざまな工夫を重ねています。
それでも、店を訪れた人は――
「やっぱり安いほうがいい。どこも300円ぐらいする」(お客さん)
「老人世帯なので、タンパク質の栄養を取るのには便利。仕方がない」(お客さん)
卵が高騰する影響は?

日々の暮らしに欠かせない卵。
家計にとっても高騰は悩みのタネですが、影響が出ているのは、たくさんの卵を使うあの店でも――
創業42年の洋菓子店「フィレンツェ」。
名古屋市内や愛知県大治町で、4店舗を展開しています。
使う卵は、1日約300個。
ケーキやプリン、焼き菓子など多くの商品に必要だといいます。
卵が高騰する影響は――
Q.卵の価格について
「年々ちょっとずつ上がってきているので、苦しいところはある。影響を与えないように工夫しながらやっているので、今のところ値上げはしていない」(洋菓子フィレンツェ荒子本店 大傍拓馬チーフ)
クリスマス商戦は?

使い続けるのは、こだわりの平飼いの卵。
以前より値上がりはしているものの、卵価格を理由にした商品の値上げはしていないといいます。
ただ、簡単に値上げに踏み切りにくい事情もあります。
「値段が高くなる分、お客さんの足が遠のいている現状も多少あるので…」(大傍チーフ)
材料費や光熱費などが上がるなか、値上げをしたのは半年前。
ショートケーキは10円から30円の値上げ、定番のイチゴは30円上げて810円にしました。
まもなく、毎年3000台以上の注文があるという、クリスマスケーキの予約が始まるところですが――
「去年より1割くらい数を減らして準備している。値上げをせざるを得ない。今のところ、100円から200円くらい全体的に上がるのかなと。ちょっときついけど、なるべくこちらも頑張らせていただくので。値段が上がるとはいえ材料は今まで通りいいものを使っていくので、味に関しては問題ないと思います」(大傍チーフ)