海外から訪れる業者も増加中の盆栽オークション 輸出額は年間9.2億円で中国を最多にヨーロッパ各国にも 愛知

今月24日、愛知県西尾市で開かれていたのは月に1度の「盆栽オークション」。
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買い付けに訪れた業者から趣味で盆栽を育てる人まで、全国から多くの人が集まりますが、中には海外から訪れた業者も。こちらは中国・上海から来た姉弟です。ベトナム人の顧客に送るための写真を撮っていた男性は…。
(ベトナム出身の業者)
「日本の盆栽は、きれいだから紹介したい」
海外からリモートでオークションに参加する人たちも珍しくありません。最前列に置かれた三脚につけたスマートフォンで盆栽の映像をリアルタイムでチェックするのは中国人だといいます。
このオークションを開いた代表の天野さんが経営する店舗は三重県津市にもあり、販売する盆栽は合わせて2万点以上。その数は国内最大級です!
(盆栽大楽 天野覚 代表)
「コロナの時期から、本人が直接仕入れができなくなって、リモートだったり(日本にいる)通訳を連れて来る人が増えた」
オークションに参入する外国人が増えたことで相場はいったいどうなっているのでしょうか?
(盆栽大楽 天野覚 代表)
「オークションの相場は上がる。5割増し、物によっては倍くらいになっているものも。僕ら(日本の)業者が仕入れようという値段ではない」
日本の文化「盆栽」に高まる外国人のニーズ
盆栽の起源は中国とされていますが、古来から日本の文化として定着してきました。今、外国人のニーズは一体どんなものなのか…。
(盆栽大楽 天野覚 代表)
「日本の文化を持って帰りたいというのは一緒なので、日本人が好むものを海外の人も好む。ここ10年くらいは日本人というよりは海外向けが7~8割」
農林水産省によりますと、盆栽の輸出額は2019年には年間4.8億円だったのが、2023年には年間9.2億円と約2倍に増えました。輸出先は中国が最も多く、次いでヨーロッパの国々が占めています。先ほどの中国人業者は今回のオークションで合計数十万円分の盆栽を買い付けました。
こちらの業者は…。
(中国出身の業者)
「(出身は)中国の北の方。僕はモミジで盆栽にハマった。モミジは一年中、眺めがいい。珊瑚閣という品種だが特徴としては枝が赤い。1万円で買った、高い方。売れないかもしれない。売れなければ自分の観賞用で」
この日、落札された最高額は樹齢100年以上のクロマツで、値段は40万円でした。
若い人たちに手軽に始めてもらい技術の継承を
このように世界的に人気が高まる一方で、盗難事件も相次いでいる盆栽…。
(盆栽大楽 天野覚 代表)
「盗難は、こちらでも2回。あれが防犯カメラ。カメラが4台と赤白のものが人感センサー。あれは50個くらいついている」
去年2月、天野さんの津市の店舗では、設置された防犯カメラが揺れたと思うと2人の人物がカメラの前に現れる様子が捉えられていました。そして盆栽を手に取ると次々と持ち出します。わずか1分ほどの犯行でした。犯人は捕まっていないと言いますが、別の被害では、その後に盗まれた盆栽が見つかったケースも。
(盆栽大楽 天野覚 代表)
「返ってきたものでもベトナムに送られる直前。もう木箱で梱包されて発送されるようになっていたものもあった」
盗まれてしまうほど、その価値が認められるようになった盆栽ですが、天野代表は国内での盛り上げにさらに力を入れたいと言います。
(盆栽大楽 天野覚 代表)
「一番やっていた世代が僕の親父の世代、60~70代から上。その人たちがいなくなると、知識も盆栽の量も減っていってしまう。アパートでも管理できる小さな物から若い人たちに手軽に始めてもらって、技術の継承が少しでもできるといいかな」
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