
フランス館に『もののけ姫』の手織物…大阪・関西万博と20年前の愛・地球博をつなぐ“ジブリの世界” 愛を表すシンボルに


スタジオジブリの映画をフランスの伝統的な織物「タペストリー」で表現した作品が、名古屋と大阪・関西万博で展示されています。愛・地球博と大阪・関西万博の2つの万博を今、スタジオジブリの世界が繋いでいます。
■『もののけ姫』の一場面を繊細に表現
大阪・関西万博のフランス館。テーマは「愛の賛歌」です。その入口にあるのは、巨大なタペストリーで、映画『もののけ姫』の一場面を、フランスの職人が伝統的な織物で表現しました。

フランス館の総監督 ジャック・メールさん: 「私は『もののけ姫』の大ファンです。宮崎駿さんの作品はデジタルを使わず、伝統的な表現、手仕事をしているとわかりました」 高さ約5m、幅約4.6m。100色の糸を使った、「もののけ姫」の主人公・アシタカが森の湧き水で傷を癒す場面。木の凸凹やコケの厚みを糸で織り、日の光を浴びた緑の濃淡が、繊細に表現されています。

フランス館の総監督 ジャック・メールさん: 「愛を表すシンボルが必要でした。日仏間の強い絆を表すのと同時に、手仕事に対する愛。そしてこのタペスリーを見た時、森の表現の力強さに大きな感動を覚えました」
■製作に2年…249色が使われた『千と千尋の神隠し』
フランス中部にあるオービュッソンは、600年前から続くタペストリーの産地です。2009年にユネスコの無形文化遺産に登録されました。 そして2019年、ジブリの作品を巨大なタペストリーで描くプロジェクトが開始しました。伝統的な職人技を、ジブリの世界とともに未来へ伝えます。

計画では、ジブリの5作品を6枚のタペストリーにする予定で、すでに4枚が完成しています。その1つが現在、愛知県美術館でも展示されています。 「千と千尋の神隠し」で、巨大化したカオナシが千尋と出会う場面。高さ3.05m、幅7.57m、製作に約2年かかりました。

愛知県美術館の担当者: 「この場面はやっぱり映画の中ですごく印象的な場面なので、これが大画面になっていて迫力がある。遠くから見ると絵みたいなんだけれども、近くに行くと織ってあることがよく分かる。タペストリーに実際に使われた糸、全部で249色あります」 今回は、愛・地球博20周年の企画として日本で初公開されました。会場では、タペストリーの下絵や制作過程を紹介する資料、試し織りなども展示され、伝統技術に触れることができます。 愛知県美術館の担当者: 「技術を見せるためには裏面を見せたいなということで、展示台を作ってもらって。タペストリーの芸術とジブリの映画のポテンシャルがうまく組み合わさっている、良い例だなと思う」

ジブリとフランスの職人がコラボレーションした作品が楽しめる『フランス・オービュッソンのタピスリー』は、愛知県美術館で8月17日まで展示されています。