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親の孤独感を解消「一緒に子育て」 ”家庭訪問型”の育児支援 家事代行とは違う意味合い

メ~テレ
12.02(火)17:54

親が子育てを1人で抱え込み、「孤独感」を増していく。そんな家庭が育児を負担に感じないよう、親を孤独にさせない支援。この地方でも広がっています。

 11月28日、名古屋市瑞穂区の児童館で開かれた「離乳食」に関する教室。

 参加したのは、子育て中の母親たちです。みなさん日々の不安や悩みを抱えているようです。

 母親たちが打ち明けるのは、子育て中の”孤独感”です。

 愛知県長久手市に住む、花さん(32)。3歳と1歳の2人の女の子の母親です。平日の日中は夫が仕事のため、ワンオペでの育児になりがちだといいます。

 2年ほど前に県外から長久手市へ移り住んだ花さん。引っ越した当時は、周囲に知り合いもおらず、孤独を感じていたといいます。

「日々同じことが淡々と過ぎて、しゃべれない幼児と向き合う時間がゆっくりで『どうしよう』となったり、夫も協力的だが、仕事が優先になるときがあるので、『1人で子育てしているな』と思うときはよくありました。物理的に1人でやらないといけない時間は長かったですね」(花さん)

”家庭訪問型”の育児支援

長久手市に住む2児の母・花さん(32)

 つながりを求め、市内の児童館に通いましたが、そこにもハードルはあったといいます。

「児童館はありがたい存在ですが、そこで友達を作るのが結構難しくて、同じタイミングで来るとは限らないし、そもそもそんなにたくさん人がいない日もいっぱいあって、声をかけるのも勇気がいる」(花さん)

 そんな花さんが出会ったのが、地域の子育て支援の、ある取り組みでした。

「もし興味があったら連絡してと言ってくれて、家に来ていただくことに抵抗がなかったので、お話を聞いた時は『是非』と思いました」(花さん)

 ”家庭訪問型”の育児支援、「ホームスタート」です。実際に利用している様子を花さんに見せてもらいました。

 子どもたちと遊んでいるのは、ボランティアスタッフ、長谷川育子さん(68)です。

「ホームスタート」は、長谷川さんのような子育て経験のあるボランティアが週に1回、2時間ほど自宅を訪問するサービスです。6歳未満の子どもがいる家庭であれば、誰でも無料で利用できます。

「家事代行」とは違う意味合いを持つ「ホームスタート」

ボランティアスタッフが保護者の困りごとに耳を傾ける

「ベビーシッター」や「家事代行」とは違う意味合いを持つ「ホームスタート」。

 ボランティアスタッフは、保護者の”代わり”になることはせず、保護者と一緒に子どもとの時間を過ごしながら困りごとに耳を傾け、解決策を探ります。

「長久手市にいてくれるおばあちゃんみたいな…。安心して子育てしていけるなってだんだん思えたひとつになったし、ホームスタート経由で違う遊びを見つけることも、そこまで神経質に子育てしなくてもいいんだなと。ただのおしゃべりもして、しっかりとした会話ができない娘たちとしかいないので日々、ふと大人としゃべることができるのは貴重な時間」(花さん)

 長久手市内を中心に「ホームスタート」の取り組みをしている団体「みどりの風」では、長谷川さんのように専門の養成講座を受けた17人の子育て経験者がボランティアとして所属しています。

「みどりの風」の梛野千鶴代表理事は、「別の大人」とのつながりの中で子育てをする環境をつくることがポイントだと話します。

「ベビーシッターに来てもらって、子どもを見てもらって、お母さんが子どもから離れるというサービスはたくさんある。でもお母さんと一緒に子どものことを見ていきながら、子育て経験者のちょっと先輩のママが遊ぶところを見せることで、見てまねしてもらって、子どもとの関係を作っていってもらいたい」(みどりの風 梛野千鶴代表理事)

課題も…

東京大学大学院 経済学研究科 山口慎太郎教授

 子育て支援について研究している東京大学大学院の山口慎太郎教授も、「ホームスタート」のポイントは、「一緒に子育てに取り組む」ことだと言います。

「代行ではなくて、一緒にちょっと手伝ってくれるとか、あくまでも自分がやるけど横にいてくれるということで、精神的に親の側が安心できるということも、子どもにとってまわりまわって良い影響があるし、ホームスタートの仕組みで来てくれたボランティアと子どもたちが話すことで、家族以外の大人から受ける良い刺激になる」(東京大学大学院 経済学研究科 山口慎太郎教授)

 ただ課題は、これらの支援を、「本当に必要としている人」にどうやってつなげていくかということです。

「用意されている支援は受ける側が支援してほしい形で申請しないと受けられない。支援を必要としている家庭ほど声をあげにくい。そういった家庭と常に接点を持っておいて、定期的に何らかの形で連絡をとって様子を把握して、必要性が認められれば支援へつなげることを制度化していくことが大事」(山口教授)

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