北海道の水産加工会社が、害獣を強力な臭いで追い払う製品を開発しました。原料には、漁の網に入り込むヒトデを使用しています。
【ヒトデの発酵液で害獣対策】測定不能な悪臭を解き放つ忌避剤『強臭力』が話題

北海道根室市の水産加工会社・吉田水産では、旬のホヤの加工が行われている傍らで、異色のヒット商品が生まれています。作業場で保管されているその液体からは、強烈な悪臭が立ち込めています。

吉田水産 吉田勲社長:
「これはヒトデを発酵させた素です」

ヒトデ。独特な化学物質を持ち、死ぬと強いアンモニア臭などを発します。それをもっと臭くします。

細かく切って一定の温度の水の中で発酵させると、半年後強烈な臭いを発する液体ができます。

検査機関で臭いを測ったところ強すぎて結果は測定不能。これを『強臭力』と名付けて販売しています。

その使い道は畑などを野生動物から守ること。10倍から20倍に稀釈して設置。液体なので臭いが広がりやすく、数カ月は動物を寄せ付けない効果があるといいます。

北海道内の2024年度の動物による農林業被害額は64億円で年々拡大。

被害額の約8割を占めるエゾシカに強臭力を嗅がせてみると、イノシシなど他の害獣にも効果てきめんです。原料のヒトデ、これまで厄介ものとされてきました。

吉田水産 吉田社長:
「産業廃棄物として漁師の天敵であり、魚やホタテを食い荒らしてしまうヒトデを廃棄しなければならず、処理費用もかさんでいました」
【海と陸の厄介ものを解決】年間225トンの駆除ヒトデを有効活用 肥料から生まれたヒット商品

地元根室市では年間225トンのヒトデを駆除していて、廃棄にかかる費用は5,000万円余り。これをなんとか活用できないかと考えました。

当初はヒトデが持つ豊富なミネラルを売りにした肥料を開発。

すると使った農家から『臭いで動物が近寄らなくなった』という声が上がり、海の厄介者で陸の厄介者を追い払う強臭力の開発に繋がったのです。

2023年にネット通販大手で販売を開始。売り上げは拡大傾向で、2026年はおよそ2,000万円の見込みです。農家に加えゴルフ場などからも引き合いがあり事業は黒字です。
【大手企業と共同実験も】低コストな害獣対策として需要拡大 販路は他分野へ

そして新たな展開も。近寄った動物を感知し忌避液体を自動で噴射する装置の開発に向け、パナソニック系の企業と実証実験を行いました。

吉田水産 吉田社長:
「人間と害獣との住む区別をつける意味でも、人間の住む地域に来ないようになればいいなというそんな思いもあります」

さらに防犯用途も視野に入れ強臭力を入れたカラーボールの開発を検討しています。

日本経済新聞社 札幌支社 濱野琴星記者:
「害獣対策を巡っては担い手不足や被害を防ぐ防護柵などの維持管理コストが課題となっています。強臭力のような大きな設備投資を必要としない商品の引き合いは強まっており、臭いに特化した特徴を生かし他分野への販路も広がりそうです」


