最低賃金が過去最大の引き上げ、愛知で1140円 働く側はうれしいが…雇う側は物価高と“ダブルパンチ”

10月18日から、愛知県と岐阜県で最低賃金が上がります。過去最大となる引き上げに、経営者からは厳しい声も聞かれます。
17日、名古屋市中区の大須商店街で愛知労働局の職員たちが配ったティッシュには「1140円」の文字が。
18日から愛知県内で適用される時給の最低金額です。
これまで1077円だった金額が63円上がり、1140円より低い時給は違法になります。
岐阜県も1001円から64円上がって1065円に。愛知・岐阜とも引き上げ額は過去最大です。
「(賃金が上がることは)働く人にとって意欲が増えると思うので、そうした意味でメリットになるのではないか」(愛知労働局 高橋嘉寿満 労働基準部長)
三重県内でも11月21日から、1023円だった最低賃金が64円引き上げられ、1087円になります。
名古屋市の居酒屋も時給アップ

働く側にとってはありがたい最低賃金の引き上げ。一方で、雇う側はどう受け止めているのでしょうか。
名古屋市北区にある居酒屋「魚洋丸」。
天然の魚にこだわった海鮮料理が自慢のお店です。
切り盛りするのは、大将の小川洋永さんと妻の実加さん。6人のアルバイトを雇っています。
Q.最低賃金の引き上げで時給はどうなりますか?(木岡真理奈アナウンサー)
「今まで1080円だったのが、10月分の給料から1140円に上がります」(小川洋永さん)
10月から新人スタッフの時給を60円引き上げるのに加え、ベテランスタッフの時給も連動して引き上げるといいます。
Q.最低賃金の引き上げで給料も上がりますが?
「うれしいです。バイト代が上がってくれれば、家計も多少は潤ってくれるかなと思います」(アルバイト歴11年 矢島菜央さん)
経営者が悩む物価高

働く側には喜ばしい一方、雇う側は複雑な心境です。
「従業員の生活もありますし、賃上げしてでも成り立つ経営をしていかないと」(小川さん)
さらに経営を苦しめるのは、物価高です。
「個人店でこだわってやっていて、天然魚を入れています。そこにお米の値段が去年の倍です。お客さんのためにやればやるほど厳しい状態ですね」(小川さん)
魚の仕入れ値は、燃料費の高騰などで1日あたり1万円から2万円ほど膨れ上がっているといいます。
物価高に加え、最低賃金引き上げのダブルパンチ。
こうした苦悩は、私たち消費者にも影響を及ぼしかねません。
Q.今後時給が(政府目標の)1500円を超えると?
「そうなってくると、お客さんに価格転嫁するしかないですね。お店は存続していきたいので、経営努力だけでは無理だと思います」(小川さん)