「食料品消費税減税」で、野菜の価格はどうなるのでしょうか。
【写真を見る】食料品消費税1%で野菜の価格どうなる? 農家は減税の影響を受ける可能性も
6月17日に開かれた超党派の国民会議。議長の自民党・小野寺税調会長は、食料品の消費税引き下げと給付を組み合わせ、消費税を実質ゼロ化する案を示しました。
まず、2027年4月1日から2年間、税率を1%に引き下げます。あわせて、中低所得の現役世代に、残りの消費税1%分に当たる範囲内で所得に連動した給付を、来年度と再来年度にそれぞれ実施するとしています。
「食料品消費税1%」で農家の収入どうなる?
「消費税の実質ゼロ案」を受け、農家の方に「食料品消費税が1%になったら、どうなるのか?」というアンケート調査をしました。その結果、減税されると手取りが減るという回答がありました。
例えば、スイカ1玉 税込1080円が税込1010円になっても、納税額が減るだけでは?と思うかもしれませんが、そもそも多くの農家は消費税の納税義務のない免税事業者です。免税事業者とは、年間売上が1000万円以下でインボイス登録をしていない事業者のこと。
農林水産省によりますと、2025年は全国の84.9%の農家が年間売り上げ1000万円以下です。
仮に農家の収入が1080円で、経費が880円だったとします。経費にかかる消費税は10%のまま。税率8%ではスイカ1080円・経費880円で、利益は200円。免税事業者は、ここから消費税を納める必要はありません。
一方、税率1%になりスイカ1玉1010円になると、1010円-880円で130円。利益が70円減ります。このように農家や食料品を販売する免税事業者は、減税の影響を受ける可能性があります。
野菜・果物の流通…大きく分けて2つ
野菜や果物の流通について、農業の流通に詳しい名古屋大学の徳田博美名誉教授に聞きました。
大きく分けて2つ。1つ目は、農家がJAに出荷→JAが卸売業者に販売→卸売業者がスーパーに販売するパターン。2つ目は、農家が産直や道の駅・ネットで販売するパターン。
JA出荷のメリットとデメリットは何があるのか?メリットは、手間・時間が省け、袋詰めする必要も販売先を探す必要もなし。「生産に集中でき、販路の確保ができる」。一方、デメリットは「価格交渉ができず、手数料が引かれる」。
農家がJAに出荷した時点では収入は得られず、金額もわかりません。JAが卸売業者に販売した時点で、初めて農家への金額が決まり、収入が得られます。価格交渉をするのはJAなので、JAが頑張れば収入は増え、買い叩かれると減ります。
JAに出荷している農家にアンケート調査
今回の「食料品減税」ついて、どう思うか。JAに出荷している農家11人にアンケート調査をしました。
【生産コストは経営に影響している?】
・している 11人
(ジャガイモ農家 70代男性)
「肥料・資材など右肩上がり。このままなら、JAに出荷するのは止めて身内に配るだけに縮小する」
(イチジク農家 30代男性)
「中東情勢の影響でビニール・塩ビパイプが高騰している。中には手に入らないものもある」
(赤ジソ農家 50代男性)
「今も国からさまざまな補助はあるが、拡充してほしい」
収入はどうなる?
【食料品消費税減税で収入は?】
・減る 5人 ・変わらない 6人
意見が割れており、多かった意見は…
(ニンジン農家 60代男性)
「少なくとも減税分は収入が減る。生産コストが上昇しているので、利益はもっと減ると思う」
一方で、変わらないのではという意見も…
(ギンナン農家 80代男性)
「私達の収入を守るためにJAが“価格交渉を頑張る”と言ってくれている。その言葉に期待している」
スーパーの価格は安くなる?
【食料品消費税減税でスーパー価格は?】
・安くなる 6人 ・変わらない 5人
(ダイコン農家 70代男性)
「消費者の期待に応えるため、安く仕入れて安く売るはず」
(ニンジン農家 60代女性)
「たとえ安くスーパーが仕入れられなくても、来年4月は1%になるから、赤字覚悟で安くすると思う。気付かれないように、後に値上げするのでは」
(ギンナン農家 70代男性)
「安く仕入れても、スーパーの人件費や資材費も高くなっているので、価格は今とそんなに変わらないと思う」
(スナップエンドウ農家 30代男性)
「辞めたり縮小したりする農家が増えて供給量自体が減るので、価格は変わらないと思う」
スーパー価格について専門家は…
スーパー価格について、徳田名誉教授は「スーパー価格は一時的に安くなっても、元に戻る可能性が高い」と話します。
「食料品消費税の減税」→「価格下落」→「農家減収」→「離農」→「生産量減」→「価格上昇」ということで、「農家減収」で減税とは関係なく、高齢化・後継者不足・コスト上昇などの問題から、農業を辞めたり縮小するという人が増え、国内の生産量は減り、価格は上がる(元に戻る)のではないかとのことです。
「農業者に配慮した実効性のある対策を」JAが国に要請
JAの見解はどうなのか。
JAあいち経済連の担当者は「農業者が不利益を被ることがないよう、農業者に配慮した実効性のある対策を実施するよう、国へ要請しています」とのことで、徳田名誉教授も政府の対応やメッセージが大事になってくると話していました。
蓋を開けてみないと分からないですが、「農家が農業を続けられるかどうか」この視点を頭に入れておいてください。
CBCテレビ「newsX」2026年6月19日放送より


