最低賃金引き上げに“止まらない物価高”… スーパーは「時給が上がったからと言って価格を上げるのは難しい」 愛知

地域の暮らしを支える、愛知県春日井市にある創業78年の「スーパーマーケット ウオトク」です。
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このスーパーには27人のスタッフが働いていて、皆さんの現在の時給は1100円。愛知県内の最低賃金にあわせ、10月18日からは1140円へと引き上がります。
(パート従業員・60代女性)
「嬉しいですよね。ずいぶん物の値段が上がっているので、時給は上がってほしい」
一方、店側にとって「賃上げ」は経営に重くのしかかります。時給40円の値上がりで店の人件費は、1か月あたり約6万3000円のアップに。スタッフ一人を追加で雇うことができる金額だといいます。
売り上げ↑で人件費分をカバーしたいが…
(スーパーマーケット ウオトク・安藤孝明店長)
「厳しいですね。人手を減らすと(店が)回らない状態になる」
これからクリスマスや正月の準備などでさらに忙しくなるため、人手は欠かせず、店の売り上げアップにより人件費の上昇をカバーしたいところですが…
(安藤店長)
「(時給が)上がったからといって、商品の価格を単純に上げるのは難しい」
こうした中で、止まらない物価高が安さを売りとするスーパーの経営を圧迫。10月は、50あまりの商品の仕入れ価格が上昇しました。
「努力だけではどうにもできない状態に」
(安藤店長)
「今だとサケの価格が上がっている。ことしはものすごく漁獲量が少ないようで、入荷数が少なく(価格が)上がっている」
いまが旬の北海道の秋サケ。仕入れ値は、去年の同じ時期と比べ倍になっていますが、売値は去年の1.3倍にとどめています。また、正月に向けて販売が伸びる「もち米」も仕入れ値が倍に。売値は去年の1.8倍、約600円の値上がりにおさえています。
(安藤店長)
「こちらで補えるところは補ってやっている」
さらに、この店では冷蔵の陳列棚も、約20年ぶりに省エネ対応のタイプに買い換えるなどし、1か月あたりの夏場の電気代を約90万円から60万円までに節約しました。それでも…
(安藤店長)
「努力だけではどうにもできない状態になってきている」
大切な仲間の賃上げは喜ばしい話ですが、経営者にとってはしばらく厳しい状況が続きそうです。