近年、想定外の豪雨が相次いでいます。もし突然直面したら、どう行動すべきなのでしょうか。いまできる備えを考えます。
【写真を見る】 「水が天井近くまで」 1か月分の雨が1時間で…深夜の集中豪雨“37万人に避難勧告”も避難所には51人 想定外の豪雨からどう逃げる?
いつどこで起きるか分からない「ゲリラ豪雨」。18年前、課題を突き付けた出来事が。
(住民 2008年)
「水は天井よりも上に行った」
「掘りごたつが畳と一緒に浮き上がった」
露呈したのは、「逃げる」「逃がす」ことの難しさ。
(岡崎市 柴田紘一市長 当時 2008年)
「想定外の状況だった」
今月すでに台風が直撃した日本列島。大雨シーズンに備えることは…
天井付近まで水が “1か月分の雨”が1時間で…
愛知県岡崎市のシンボル、岡崎城の脇を流れる伊賀川。川幅は狭く、普段は穏やかですが、2008年8月末の豪雨で牙をむきました。
(岡崎市民 2008年)
「もうちょっとで天井だもん。こんなの初めて」
「(水は)2メートルくらいまで来ていた」
岡崎市では午前2時までの1時間に、8月1か月分を超える146.5ミリの雨が降り、1000以上の住宅で床上浸水。2人が死亡しました。
「一気に降って一気に氾濫」未明の時間で逃げられず…
(豪雨当日に被害調査・大同大学 鷲見哲也教授)
「中小河川の氾濫や内水氾濫が広く起こった。小さい川は水を流す能力が小さく、早く能力を超えやすい」
(桜沢気象予報士)
「一気に降って一気に氾濫。しかも降ったのが、未明の時間。逃げられるタイミングではない…」
(鷲見教授)
「(避難するのは)なかなか難しかったと思う」
突然の豪雨で溢れた伊賀川。被害の大きかった地域には、地形にある特徴が…
(桜沢気象予報士)
「坂道になって住宅街がある」
(鷲見教授)
「奥が丘陵地、手前は堤防。その間は低い土地で、水の逃げ場がない」
「畳が浮いていた」室内は80センチまで浸水
住民も「避難は難しかった」と振り返ります。
(藤井恵治さん 64歳)
「水が玄関ドアの中央あたりまで来た。ものすごい雨が降っている音で目が覚めて、窓から川を見たら、もう水が溢れていた」
(長男・宏典さん 31歳)「これが当時の写真。中学2年だった」
(桜沢気象予報士)「完全に家の中まで水が入ってきていますね」
(恵治さん)「畳が浮いていた」
室内は80センチの高さまで浸水し、土壁がむき出しに…
(恵治さん)「写真のように、家の中で突っ立っていた」
(桜沢気象予報士)「避難しようにも行けない?」
(恵治さん)「無理無理」
約37万人対象に避難勧告…避難したのは51人
一方、「逃がす」側の行政にも課題が。
(岡崎市防災課 柴田智隼主査)
「どこでどんな被害が起こっているのか、起きそうなのかは把握できなかった。そのために市内全域に避難勧告を出した」
岡崎市は深夜の豪雨の直後、午前2時10分に市内全域・約37万人を対象に避難勧告を出しました。しかし、すでに浸水被害が発生していて、避難所に避難したのは51人だけでした。
その後、予測精度は向上したほか、5月28日から提供が始まった新しい防災気象情報は「レベル4 危険警報」が避難指示を出す目安で、自治体も避難情報を出す判断がしやすくなると期待されています。
市内65カ所に設置 リアルタイムで浸水状況わかる
さらに…
(柴田主査)
「これが、ワンコイン浸水センサ。ポールなどに簡単に取り付けでき、専用のサイトで浸水の状況を確認できる」
「ワンコイン浸水センサ」はその名の通り、500円程度と低コストでの普及を目指している装置のこと。
岡崎市では、県内最多の65か所に設置しています。専用サイトを見れば、リアルタイムで浸水状況を知ることができ、行政や住民のすみやかな対応につながります。
(大同大学 鷲見教授)
Q.市民も自ら情報を入手することが大事?
「避難は行政がバスで連れて行ってくれるわけじゃない。自分が今『動くべきなのか』『動くための情報はどこにあるか』能動的に調べて、いち早く動けるようにすることが大事」
住んでいる地域の危険を知る 「水害ハザードマップ」を作成
また、逃げる時の危険を調べておこうという取り組みも。
(岩津町内会 近藤和也総代)
「手作りの水害ハザードマップを作った。みんなで危険箇所を探す街歩きをした」
岡崎市北部の岩津町では去年、町内会が浸水が起きやすい場所や避難する時に危険な場所をまとめ、手作りハザードマップに。
たとえば…
(近藤総代)
「側溝のフタがない場所。道路が冠水した場合、側溝のあるなしが見えなくなる」
(鷲見教授)
「境目が見えなくなるのが、最大に危ない要素」
フタのない側溝は、道路が冠水すると足を取られる危険が。
いつもの道が危険になっているかも…「どう逃げるか」を再確認
さらに、道路が狭い下り坂も…
(桜沢気象予報士)「細い!ちょっとよそ見したら落ちちゃうくらいの幅」
(近藤総代)「現に落ちた大人もいる」
(桜沢気象予報士)「雨で視界が悪くなるとさらに危険」
こうした危険な場所の写真を撮り、マップにまとめました。マップを作成中の去年9月には、台風の影響で大雨が。岩津町でも、普段はおだやかな於御所川の水が溢れて、国道が冠水しました。
(近藤総代)「川から越水して、国道に水がダーッと」
(桜沢気象予報士)「このあたりは完全に水に浸かった状態」
この経験も、手作りハザードマップに追加しました。
(鷲見教授)
「どのルートを通るべきか、どこに逃げ込むべきなのか。知っているかいないかで、避難行動の成功は大きく変わる」
(桜沢気象予報士)
「普段の道が、もしかしたら危険になっているかもしれない。あらかじめ知っておくだけでも命を守る行動につながる」
突然の大雨でも確実に命を守るために、まずできることは、「どう逃げるか」の再確認です。


