わずか1時間で104.5ミリ。2026年9月8日、名古屋では「東海豪雨」を上回る観測史上最多の雨量を記録しました。道路は川のようになり、119番通報は通常の数倍に急増。なぜ街中で浸水被害が相次いだのか。浮かび上がったのは、名古屋の地形と都市構造が抱えるリスクでした。
■名古屋を襲った豪雨 119番鳴り止まず
2026年9月8日、名古屋を襲った猛烈な雨。 午後4時53分までの1時間に名古屋市に降った雨は104.5ミリ。「東海豪雨」を超え、観測史上最多を更新しました。 わずかな時間で道路は川のようになり、車が立ち往生し、店舗にも水が流れ込みました。
名古屋市消防局の防災指令センターでは、電話が鳴り止まない時間が続き、急きょ休みの職員も動員、局内でおよそ100人が対応にあたりました。
<119番通報> 「車の中に水が入ってきて今足が水に浸かっている状態」 「家の前の川が氾濫してしまっていて、外に出ることもできなくて」 「地下の中を見に行っている間に、扉が閉まって、どこも開いてなくて」 名古屋市消防局指令課・富田真弘さん: 「普段は通報件数が1時間に30~40件なんですけども、その日は16時台で261件、17時台で216件、18時台で110件と、3時間の間に通報が集中しました。私も指令課員になって5年目なんですけど、なかなか経験したことがないことだったので、同じ指令課員にこの経験を生かして、どんな時でも対応できるような態勢を取れるようにしていきたい」
■普段は流れのない川が濁流…要因に“名古屋の地形”
名古屋市内では新瑞橋周辺や千種駅、バンテリンドーム近くなど、中心部でも水があふれました。
26年前の 「東海豪雨」では庄内川の水があふれ、支流の新川が決壊し、大きな被害が発生しました。 今回の豪雨でも、レベル5の「氾濫特別警報」が発表されましたが、市内の小さな川や街中では相次いで越水が起きた一方、庄内川・新川では大規模な被害には至りませんでした。
名古屋大学・田代喬特任教授: 「集中してたくさん降る雨のようなパターンですと、特に小さな川・大きな河川の上流だったり、あるいは支川、そういったところの河川の水位が上がりやすいというような特徴がありますね」 普段は下水の排水以外に水源もなく、潮の満ち引きが水の流れとなっている新堀川ですが、今回の豪雨では濁流と化しました。
流れのない川が濁流になったわけ。それは名古屋の市街地の特徴にありました。 (リポート) 「上前津から新堀川に向かって車を走らせています。緩やかな下り坂になっていて、道路の先に向かって少しずつ低くなっているのが分かります」
さらに栄方面からも下り坂になっています。名古屋城から熱田神宮まで、台地状になっている名古屋の中心部。栄・矢場町・大須から、雨水が新堀川へ流れ込みました。
田代教授: 「新堀川、堀川の辺りは、周辺の土地の多くが都市化されていて、アスファルトで被覆されていたりというような状況がありますので、降った雨が地面の中に染み込むことなく、比較的速やかに川に集まってしまうという特徴があります」 大きな川は、広い流域から徐々に水が集まるため、雨のピークと水位のピークに時間差が生まれる一方、「短時間・集中型」の雨では、小さな川ほど急激な増水に見舞われたということです。
田代教授: 「鶴舞公園の辺りも、今でこそ公園が整備されてますけれども、かつては川が流れていて、今の公園があるあたりは、湿地や池みたいな地形があったということが、昔の地図を見るとわかります。そうした街中に集中的に雨が降ると、街が水浸しになるということと合わせて、その少しずつあふれた水が、最終的には新堀川・堀川だったりという街中を流れている川の中に集まってくる」
■「教訓を次の備えへ」国が対策検討会を設置 年内方針とりまとめへ
都市部で内水氾濫の被害が相次いでいることを受け、国土交通省は9月19日、有識者による検討会を開きました。
京都大学総長特別補佐・中北英一座長: 「災害の記憶が新しいうちに、現象を科学的にもしっかりと分析し、教訓を次の備えへとつなげていく」 内水氾濫のリスクが高い場所では排水できる雨量の引き上げを検討し、年内をめどに対策をとりまとめるということです。 気候変動に伴う豪雨リスクが指摘される中、都市を水害から守るために、私たちは何ができるのでしょうか。 田代教授: 「たくさん雨が降った場合には、元々の地形の特徴が、改めて顔をのぞかせるということがありますので、住んでいる街の素性・特徴みたいなものを頭に置いておくということが大事じゃないかなと思います」


