12年ぶりに見直された、愛知県の南海トラフ地震被害予測。死者数などは減少しましたが、期待したほど防災は進んでいないことが浮き彫りとなりました。
【写真を見る】南海トラフ地震 愛知県の“新”被害予測 防災対策に課題 前回調査から12年の成果は… 専門家「前回の被害予測結果と被害があまり変わらない」
6月2日に愛知県が公表した新しい被害予測は、最新の地盤調査や堤防の補強など新たな対策を反映させ、前回2014年の結果を見直したものです。
過去に起きた5つの巨大地震をもとに想定した、南海トラフ巨大地震が発生した場合、県内で震度6弱から7の揺れが広範囲に起きますが、新しい予測では西尾市や田原市などの一部で、前回調査よりも強い揺れの範囲が広くなる結果に。
田原市内の小学校で特別授業
(関西大学 奥村与志弘教授 6月1日 田原市・清田小学校)
「南海トラフ地震で死なない方法、ポイントがあります」
県内最大の9.6メートルの津波が襲い、死者数は約300人と予測された田原市では、市内の小学校で、防災と減災の特別学習が。
(小学生)
「地震の揺れが収まったら、すぐに高い所に避難しようと思いました」
「おばあちゃんが足が悪いので、早めに(避難の)指示をしたい」
前回予想に比べ浸水面積が半分以下に… なぜ?
一方、堤防補強などが進んだことで、浸水面積は前回予測と比べ半分以下となりました。
特に改善されたのは、海抜ゼロメートル地帯の飛島村や弥富市。
理由は、津波の通り道になると考えられてきた日光川の整備です。総事業費216億円をかけ、河口部に耐震型の水門が作られました。
(海部建設事務所 多田芳隆流域調整監)
「過去地震最大に対応していて、門を閉めてここで津波を止める」
「住民が避難行動をとれるとは限らない」
また、前回予測よりも死者を大幅に減らしたのが西尾市。すでに津波避難タワーを6基完成させ、来年度までに10基に増やす計画です。
(西尾市 危機管理課 鈴木徹課長補佐)
「自分たちがどこまで逃げればいいのか。浸水範囲を把握して理解していただきたい」
死者数の予測は前回より500人減少しました。しかし、地元の防災ボランティアの織田さんは、「ハードの整備が進んでも、住民が避難行動をとれるとは限らない」と指摘します。
(一色防災ネットワーク 織田善夫代表)
「避難指示が出たからといって、皆さん動かないんです。地域のリーダーが声を出して、皆さんを動かさないといけない」
12年間の防災対策の成果は…
今回の新しい予測では、愛知県内の死者数は最大約5300人。しかし、元々の目標は約1200人と、大幅な開きがあります。揺れや液状化による建物の倒壊数も大きくは減っておらず、この12年間の対策でも減災は期待ほど進んでいないことが浮き彫りに。
(愛知県南海トラフ地震 被害予測調査検討委員会 福和伸夫委員)
「残念ながら12年前に出した被害予測結果と、あまり被害が変わらなかった。これは非常に具合が悪い。家を耐震化する、津波が来ない場所にできれば引っ越す。痛みを多少伴うような行動を一人一人がするしかない」
住まいの耐震化や安全な地域への住み替えなど、一人一人の対策にさらなる減災がかかっている中、今後個人への思い切った補助など国による新しい施策が課題となりそうです。


