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見た目はまるで“花畑”…米を脅かす最強植物「オオバナミズキンバイ」駆除始まる 切れ端からも完全再生 繁殖力との戦い

CBCテレビ
10.05(日)14:02

9月23日、三重県桑名市の田んぼには、朝早くから多くの農家や関係者が集まっていました。その目的は…

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(前川智彦記者)
「田んぼや用水路の中で発生が確認されている“オオバナミズキンバイ”ですが、きょう駆除に向けた作業が始まりました」

この地域のコメ農家を悩ませている南アメリカ原産の外来種「オオバナミズキンバイ」。ついに本格的な駆除に向けた作業が始まりました。

駆除作業の前には、滋賀県から駆けつけた専門家による研修会も行われ、その本気度が伝わってきます。

これほどまでに駆除に対して入念な準備をするのにはワケが。オオバナミズキンバイとは一体どのような植物なのでしょうか。

「見たことない草が入ってきとんぞ」

農家によると、初めて見つかったのは3年ほど前ですが、最初は誰も気に留めていませんでした。しかし、気付いたときには農業にも支障が出るように…

(コメ農家 毛利圭吾さん)
「どうするんやこれ、みたいな感じで、皆さん知っているのは知っているので、何やあれ、見たことない草が入ってきとんぞみたいな」

(コメ農家 毛利道郎さん)
「これはすごいことですね、やっぱり。駆除しな駄目やね。水路で水が出入りするんだけど、水が全然出入りできない」

「オオバナミズキンバイ」最大の特徴は、恐るべき生命力。あっという間に繁殖して、元の環境や生態系を脅かす上、ほんの少しの破片からでも再生するため駆除も極めて難しく、2014年に国から特定外来生物に指定されました。

除草剤を使っても生えてくる“脅威の生命力”

ここに繁殖するオオバナミズキンバイへの警戒をいち早く呼びかけてきたのが「なごや生物多様性保全活動協議会」の小菅崇之さん。

(小菅崇之さん)
「去年は全くこの水路は生えていなかったんです。なのに、今年来たらここまで広がってるというのは本当に驚きで、どうしようって感じです」

(コメ農家 毛利圭吾さん)
「繁殖率がすごくて、除草剤を振ったり草刈りしても、ちょっとした断面からばーっと広がって、穂の高さまで来る」
(コメ農家 毛利道郎さん)
Q.除草剤で殺したものからまた生えてくる?
「はい」

除草剤で枯らしたはずの茎からは、新しい葉っぱが生えていました。さらに、この植物の適応能力も、駆除を難しくしています。

(小菅さん)
「水の近くにあるときは(葉は)丸いが、陸地にあるものは若干細くなったりする。水陸両用という感じで、水に浮くときに、葉っぱが丸い方が安定感が出るのでしょうね」

水上でも、陸上でも、形を変えて繁殖し続ける。それが、この侵略植物の脅威を一層高めています。

「根っこ」「茎の切れ端」が残っていると…そこから再生

(コメ農家 毛利圭吾さん)
「重機とか使ったりしてやらないことには、とても人の手だけじゃ追いつかないですよね。取るのもすごく重たいので、こんなちょこっとでも。根っこからしっかりしているので、持ってくるとなったら、重たいんです」

重機を使うことにも問題が。オオバナミズキンバイは、根や茎の切れ端からでも完全に再生できるため、重機で大がかりに撤去したり、田んぼや畑に生えているのを知らずにトラクターなどの農業機械を使ったりすると、他の場所に広がる恐れがあると言います。

(コメ農家 毛利道郎さん)
「トラクターを使ったときに、この田んぼで洗って、次の田んぼに入っていくことは無理です。本当はやりたいんだけど、作業上無理です」

いったん広がれば完全駆除は極めて難しく、普段の農作業も出来なくなるという農家にとってまさに悪夢のような状態。米の収穫にも影響が心配されています。

(コメ農家 毛利道郎さん)
「減収になります。お米が悪いし(お金の面で)マイナスですね。プラスには絶対にならない」

オオバナミズキンバイの研究の第一人者・稗田真也さんは、桑名市で田んぼに広がった事例は、今まで以上に深刻だと話します。

(豊橋市自然史博物館 稗田真也学芸員)
「これまで、水路とか池とか湖という水辺に侵入していることは、よく見られていた。水田の中、田んぼの中に侵入して生い茂っているという事例は、実は多くはない。その点において、侵入のステージが進行しているのではないか」

「取り残さないことは不可能」どうすれば…

日本でも例があまりない田んぼでの駆除作業。

この日は三重県や桑名市の職員、現地の農家など約60人が参加しました。除草剤での駆除ができない用水路を中心に、オオバナミズキンバイを根っこから抜きつつ、水面に浮いた断片すら丁寧にすくいながら、駆除作業を進めていました。

(参加者)
「まとまっていて、すごく重たい」
「大変ですね。思った以上に底が深いので足を取られます」

しかし、駆除作業は一筋縄ではいかず、用水路は泥でぬかるんでいて、移動するにも一苦労です。

(滋賀県生物多様性戦略推進室 中井克樹副主幹)
「泥まみれの中で取り残さないことは不可能。これだけ駆除したらもういいという気持ちになりかねないところを、桑名の人たちは次もう一度(草の)再生の確認を10月にやるようなので、それが一番大事なこと」

恐るべき繁殖力のオオバナミズキンバイ。諦めることなく、地道に駆除の回数を重ねていくしかないといいます。

(滋賀県生物多様性戦略推進室 中井克樹副主幹)
「機会を生かして次また駆除する。それは今回取った量と比べると、桁違いに少ない労力で回収することができるはず」

(七取土地改良区 伊藤三好理事長)
「少しでもこうして減らしていけたらと思っています。ありがとうございました」

見た目はまるで“花畑”…驚異の最強級外来種との戦い

今回の作業はこれで終了しましたが、三重県桑名農政事務所では今後も引き続き駆除作業を行っていく予定です。

そしてことしの夏、取材で訪れた、まるで花畑のようにオオバナミズキンバイが広がっていた田んぼも、来年の田植えに向けて動き始めるということです。

(コメ農家 毛利圭吾さん)
「うちが預かって作業をしていく田んぼ。除草剤をまいたり、草を刈ったり、重機で除去したりして、来年はしっかりお米を作っていきたい」

この田んぼは、稲作りをしなかったわずか一年でオオバナミズキンバイが広がってしまいましたが、地道に駆除作業を行っていくということです。

(コメ農家 毛利圭吾さん)
「2年3年4年と(時間を)かけて徐々にやっていけたらと思う。おいしいお米を作ってみんなに喜んでもらえるように頑張りたい」

最強級外来種との戦いは、まだ始まったばかりです。

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