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刈った所から稲が…!一度の田植えで二度収穫 コメの収穫量は1.5倍に 味は?見た目は? 地球温暖化を逆手に取った「再生二期作」

CBCテレビ
11.29(土)14:02

山間部で雪も降り始めた11月下旬。愛知県半田市では、季節外れの稲刈りが。

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訪ねたのは、半田市のコメ農家・近藤匠さん。「農家のKT」としてSNSで情報を発信。総フォロワー数12万人を超える「農家インフルエンサー」としても有名です。

(NAO RICE・近藤匠さん)
Q.収穫時期は終わっていると思うが、なぜ?
「再生二期作といって、1回刈り取った株を再生して2回目を育てている。9月の初旬に刈り取った稲。高く刈り取って葉や茎に養分を残しておく。それを栄養分として使って再度実らせる」

近藤さんが行っている「再生二期作」は、一度の田植えで二度コメを収穫する栽培技術。1回目の収穫で稲穂だけを刈り取り、茎や葉を残すとそこから再び穂を実らせます。2回目の収量は半分程度ですが、一度の田植えで以前の1.5倍コメがとれることになるのです。

(近藤さん)
Q.再生二期作をやろうと思った理由は?
「品質が安定しない。地球温暖化の影響で。半田市も暑くて品質が悪いので、それ(暑さ)を逆にいかせないかと」

全国的に見ても最大規模「よく実っている」

年々厳しくなる猛暑はコメの高温障害を引き起こしていますが、実はこの異常な暑さを利用するのが「再生二期作」です。

(農研機構・中野洋さん)
「コシヒカリでこんなになるんだ。よく実っている」

再生二期作を長年研究している国の機関「農研機構」の担当者がこの日、近藤さんの田んぼを視察に訪れていました。

(中野さん)
Q.全国で再生二期作をしているが、なぜ近藤さんのところに?
「近藤さんが大規模で再生二期作に取り組んでいると聞いたので、稲・収穫の状況・味を確認して情報交換しようと」

近藤さんは30ヘクタールある田んぼのうち、半分にあたる15ヘクタールで再生二期作を実施。全国的に見ても最大規模です。

(大石邦彦アンカーマン)
「気付きませんでした。こんな二期作があること」
(中野さん)
「味の良いコメをたくさんとれる技術開発ができないかと(再生二期作に)取り組んできた」

「これは一等狙える」一期作目より等級が高くなる!?

葉や茎を残しておくと、再びコメが実ることは大昔から知られていましたが、2度目の時期は寒くなるため品質が低く、農業としては行われてきませんでした。

しかし、温暖化を背景に農研機構はおととし、再生二期作でも高品質の主食用米が栽培できる技術を発表。全国的に注目を集めています。

訪れた日は、多くの報道機関が取材に。いかに注目度が高いかが伺えます。

では、収穫したコメの出来は…

(近藤さん)
「品質が高い。等級が高くなる」
Q.一期作目より等級が高くなる?
「愛知県は(暑さの影響で一期作目は)三等ばっかりなので。これは一等狙える」

「一期作」と「二期作」見た目の違いは?

再生二期作で作ったコメの味はどうなのか?お米のプロに聞きます。

訪れたは、名古屋市千種区の「伍代目善太郎 小川屋米穀店」。店主の小川さんは、名古屋に5人しかいないコメの専門家「五ツ星お米マイスターProf.」です。

まずは一期作と二期作の「見た目」を比較。

(小川屋米穀店・小川潤さん)
「(二期作目は)きれいですね。高温障害といわれる白い所がない。あっても少ない」
Q.二期作目の方が大きいくらい?
「二期作目の方が粒の充実度がある」

一期作は高温障害の影響で白く濁ったコメがある一方、再生二期作は透明で本来のコシヒカリの見た目に近いといいます。

2つを食べ比べてみると…

今度は全く同じ条件でコメを炊いて、どちらが一期・二期か知らない状態で食べ比べです。

Q.おいしいのはどっち?
(大石・小川さん)「黒い茶碗のコメ」
(大石)「粒立ちがしっかりしていて、甘みが強い気がした」
(小川さん)「白い茶碗の方が、さっぱりしていて甘さの持続が短い。黒い茶碗の方が、粘りがあって甘さを強く感じる」

Q.コシヒカリの特徴がよく出ているのは?
(小川さん)「黒の茶碗の方が出ている」

二人ともおいしいと感じたのは、黒の茶碗。果たして…?

(大石)「どっちが再生二期作か教えてください!」
(スタッフ)「黒の茶碗が再生二期作」
(大石)「お~!」
(小川さん)「そうなんだ…(黒の茶碗が)一期作目かと思っていた。二期作目と聞いてビックリ」
(大石)「再生二期作は一期作目より収量は少なくなるが、味は場合によっては一期作目を超えるとなれば、十分やっていけますか?」
(小川さん)「ごはんとして食べてもらうには、満足してもらえると思う」

「再生二期作」今後どうなる?

農研機構の中野さんは…

(中野さん)
Q.今後定着していく?
「温暖化はなかなか止めることはできないので、気候に適応した栽培技術として今後とも普及していくのかなと思う」

コメ不足から価格が倍近くに上がったままのコメ。収量1.5倍、味もおいしい再生二期作は、日本のコメ作りを変える可能性も秘めています。

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