駅のホームにある、“滑り台”の話題です。一体、何のために設置されているのでしょうか。まもなく役目を終えるこの“滑り台”を取材しました。
“日本一カオスな駅”とも言われる、名鉄名古屋駅。1日約900本、最短2分間隔で列車が行きかいます。
複雑な乗り場を案内する“DJブース”など、ここだけの「珍百景」が数多くあります。そこに…。
「駅のホームの真ん中あたりに滑り台のようなものがあります。ローラーもついていて、公園にある滑り台にとても似ています」(記者)
この“滑り台”、一体どのように使うのでしょうか?
作業員が登場して、ローラーを延長します。そして―。
「いま上から新聞紙が落ちてきました。この滑り台、新聞紙専用の滑り台なんです」(記者)
そう、これは新聞紙専用の滑り台「シューター」です。
1階から新聞の束を次々と投下。駅のホームまで高低差6メートルを滑り落ちていきます。
「(新聞を)地下の駅に下ろすのには、労力がかからずスピーディーなので、滑り台が大変重宝している。以前は印刷がぎりぎりになっていた頃があり、本当に滑り台がないと列車に間に合わないということがちょこちょこあった」(輸送を担当 丸新舎 山田厚樹 取締役)
1日あたり約8000部の夕刊をいち早く読者に届けるため、名鉄の列車に載せて、名古屋駅から各方面に運ばれていくのです。
“新聞の滑り台”から配達されるまで

今から70年前、名鉄百貨店ができた時に設置されたのではないかと言われています。
「上に百貨店がない頃は、先輩から『上に開いていた穴からぼとぼと新聞を落としていた』と聞いている」(山田取締役)
かつては、電車の中で新聞を読んでいる人の姿が多くありましたが、1997年をピークに新聞の発行部数は減少。今ではピーク時の半数以下です。
2008年には夕刊紙の「名古屋タイムズ」が廃刊、夕刊を取りやめる新聞社も相次いでいます。
名鉄名古屋駅では、ピーク時に今の100倍ほどの新聞を運んでいたといいます。
せっかくなので、今回、名鉄三河線沿線、碧南市方面に夕刊を運ぶ列車に一緒に乗り込んでみました。お客さんと一緒に、夕刊も列車に揺られます。
名古屋駅から約50分、刈谷市の小垣江駅。駅のホームで待っていた販売店の担当者が、新聞をピックアップしました。
ここから読者のもとに、配達されていきます。
「私たちは1部1部、しっかりお客様のお宅に間違いないよう日々届けることを心がけている」(齋藤新聞店 齋藤琢夫さん)
今後はトラック輸送に切り替え

名鉄の列車で夕刊を運ぶこの光景、実は1月31日で見納めです。約40年間担当してきた山田さんは…。
「今の会社に入社するきっかけでもあったので、名鉄はすごい思い入れがあった。非常に寂しいです」(山田取締役)
夕刊の印刷拠点が分散しトラックでの輸送効率が上がったこと、さらに、「滑り台」は名鉄百貨店の施設の一部であることなどから、2月末の百貨店の閉店に合わせこのタイミングで役目を終えることになりました。
今まで名鉄で鉄道輸送していた分は、トラックでの輸送に切り替えられます。
「トラック輸送に切り替わっても、読者にとっては“毎日同じ時間に新聞が届く”ということで、使命感を持って続けていきたい」(山田取締役)
31日で「滑り台」の利用は終わりますが、すぐには撤去せず、名駅の再開発工事が始まるまでホームに残す予定です。


