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13人に1人の学習障害 “読み”“書き”が苦手な「発達性ディスレクシア」 気づかれにくく苦しむ子どもも… 理解と配慮で広がる可能性

中京テレビ
04.19(土)10:00

学校の勉強に必要な“読み”“書き”が、いくら努力をしても難しい人がいます。学習障害の一つ「発達性ディスレクシア」。知的障害はなく、視覚や聴覚にも問題がないのに、読み書きなどが困難な障害で、脳機能の発達に問題があるとされています。

発達性ディスレクシアを研究する専門家の調査によると、日本におけるこの学習障害の割合は人口の約8%。35人学級であれば2~3人がいる計算になります。

読み書きにかかわる障害なので、小学生になってから判明することが多いのですが、見た目では障害があることがわかりづらいため、見過ごされることも珍しくありません。本人は「できないのは自分の努力が足りないからだ」と自分を責めてしまいがちで、中には不登校になってしまう子も…。

子どもが読み書きに困難を抱えている。そう気付いたとき、家族や学校はどのように対応すればいいのでしょうか。2つのケースを取材しました。

一度は不登校に…それでもポジティブに! ~鍋島龍ノ介さんの場合~

13人に1人の学習障害 “読み”“書き”が苦手な「発達性ディスレクシア」 気づかれにくく苦しむ子どもも… 理解と配慮で広がる可能性

小学2年生の頃に発達性ディスレクシアだと診断された鍋島龍ノ介さん。高校2年生になった現在も、文字を書くことがかなり難しく、極力避けて生活しているといいます。

幼少期からの違和感を尋ねると、2~3歳の頃は少し発語が遅かったものの絵本を丸暗記することもあり、問題があるようには見えなかったと、母・舞さんは話します。

しかし、小学校に入学して読み書きをベースとした授業が始まると、次第に苦労することが増えていきました。

13人に1人の学習障害 “読み”“書き”が苦手な「発達性ディスレクシア」 気づかれにくく苦しむ子どもも… 理解と配慮で広がる可能性

発達性ディスレクシアの診断を受けると、舞さんは学校側に説明し、親がプリントにふりがなをふることや、書き取りの宿題を提出しないことを許してほしいと伝えました。

願いは聞き入れられましたが、障害について理解してもらうのは難しく、漢字の書き取りの授業に参加させてもらえなかったり、辞書を引くことができずとがめられたりと、龍ノ介さんがつらい思いをしたこともあったと、当時を振り返ります。

周囲と同じことができないことで同級生から悪口を言われることもあり、3年生になると学校に行くことができなくなってしまったのです。

母・鍋島舞さん:

「以前はキラキラした瞳をしていた息子が、帰ってくるたびに私にしがみついて一言も話せなくなっちゃって。そんな辛い毎日なんて送る必要ないから、学校に行くのやめようって」

13人に1人の学習障害 “読み”“書き”が苦手な「発達性ディスレクシア」 気づかれにくく苦しむ子どもも… 理解と配慮で広がる可能性

学校に行かせないと決めたとき、龍ノ介さんと約束したことが2つありました。1つは、家にこもるのではなく外出する不登校になること。そしてもう1つが、朝起きて夜寝るという生活スタイルを守ることです。

その約束を守り、龍ノ介さんは4年生のときにオーストラリアへの短期留学を経験。高学年からはプログラミングを学べるフリースクールにも通い始め、自分なりの生活ペースをつくりながら過ごしていました。

そして、中学生になると新たな目標を掲げます。フリースクールの先生のアドバイスもあり、大学進学を決意したのです。そのために苦手教科である英語を学べる塾に通いはじめ、在籍したまま通えていなかった地元の中学にも週1~2回の頻度で顔を出すようになりました。

母・鍋島舞さん:

「家族以外の信頼できる大人と関わりを深めたことで、冷静に自分を見つめ直したんじゃないかな、彼なりに。自分で考えて、自分のペースで再び社会に出る準備が整ったんだな」

13人に1人の学習障害 “読み”“書き”が苦手な「発達性ディスレクシア」 気づかれにくく苦しむ子どもも… 理解と配慮で広がる可能性

舞さんは、大学に行きたいという龍ノ介さんの希望を叶えるため、発達性ディスレクシアに対する理解のある高校を探しましたが、「定期テストで別室でのパソコン入力を許してほしい」というと「前例がないのでできません」と門前払いされることも多かったといいます。

20校以上に問い合わせた結果、現在、龍ノ介さんは名古屋市内の単位制の高校に週4日通学しています。授業はもとから全員タブレット、定期テストのときはインターネットにつながっていない回答用のパソコンを使い、別室で受験しています。

障害に理解のある環境で勉強を頑張りつつ、課外活動として麻雀同好会に所属し、仲の良い先輩や友達もできました。先日は不登校になって以来8年ぶりに「放課後に友達と遊びに行きたい」と話してくれたそうです。

ありのままの息子を包み込み、ほどよい距離感で寄り添う舞さんに、子育てに対する考え方を聞いてみました。

母・鍋島舞さん:

「子どもが私に助けを求めたときは、誰よりも強い味方でいようと決めています。母業って一生続く推し活だと思っているんです」

話し合いを重ね学校全体で障害に向き合う ~森永健太さん(仮名)の場合~

13人に1人の学習障害 “読み”“書き”が苦手な「発達性ディスレクシア」 気づかれにくく苦しむ子どもも… 理解と配慮で広がる可能性

高校1年生の森永健太さん(仮名)は、小学4年生のときに発達性ディスレクシアの診断を受けました。

“文字を見て音に変換すること”や“文章の中から意味のある単語を見つけること”などが苦手で、改善や習得が困難な状態です。

母・ゆみさんは、健太さんが名古屋市立の中学校に入学すると、すぐ学校側に発達性ディスレクシアであることを伝え、デジタル教科書で授業を受けることや、教員の目が届きやすい教卓付近の席にしてもらうなど、“合理的配慮”をお願いしました。

合理的配慮とは、障害のある人が社会生活を営む上で“障壁”となるものを取り除くことです。2024年4月1日の障害者差別解消法の改正により、学校などを含む事業者は、障害のある人から合理的配慮を求められた場合には提供することが義務化されています。

前例がなかったこともあり、当初、話を聞いた先生たちは戸惑っていましたが、発達性ディスレクシアを取り上げた動画を見てもらうなど、ゆみさんが根気強くアプローチを続けているうちに徐々に理解が得られ、担任や教科担任の先生などからも「息子さんが勉強するために必要なのは、どんなことですか?」と声を掛けてもらえるようになったといいます。

13人に1人の学習障害 “読み”“書き”が苦手な「発達性ディスレクシア」 気づかれにくく苦しむ子どもも… 理解と配慮で広がる可能性

健太さんが通っていた中学校を取材すると、学校全体で向き合っていた当時の様子が見えてきました。

家族との話し合いの場には、担任や学年主任だけでなく特別支援教育コーディネーターの教頭も同席。全教職員で情報共有をし、健太さんの状態や発達性ディスレクシアについて同じ認識を持てるようにしたということです。

合理的配慮については、できること・できないことを専門家も交えて話し合いを重ね、開始前には同じクラスの生徒への説明も行いました。

情報共有のためにデータを指定の場所に保存するなど、一つ一つは些細なことでも、日常となると教員の負担は増えることになります。それでも継続できたのは、担任をはじめ教職員の“理解したい”という強い思いがあったからだといいます。

健太さんが通っていた中学校の当時の教頭:

「継続的に実践するには担当する教員の協力が必要です。続けていられるのは“健太くんの能力をきちんと理解したい”という教員の思いだと思います。初めてのことでしたが、少しずつ実践をしながら改善し、互いに歩み寄れたことが良かったと思います」

13人に1人の学習障害 “読み”“書き”が苦手な「発達性ディスレクシア」 気づかれにくく苦しむ子どもも… 理解と配慮で広がる可能性

こうして新たな学校生活をスタートさせた健太さんは「すごくやりやすいし、心配したような友達の反応もなかった!」と笑顔で話してくれたそうです。ゆみさんも「目の前が明るくなったように感じた」と当時を振り返り、顔をほころばせました。

実際に始めてみると思わぬ問題が生じることもありましたが、本人・家族・学校の3者が相談しながら一つ一つに向き合い、乗り越えていったということです。

見た目にはわかりづらい学習障害「発達性ディスレクシア」。正しい理解が広まっていないことが一番のハードルとなっているようです。目に見える障害や理解の進んできた障害と同じように、障害に対する正しい理解と、その人に必要な合理的配慮が当たり前に受けられる体制が求められているのかもしれません。

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