狙うは「温泉＋α」　自然・スイーツ・サウナでインバウンドに頼らない集客を　北海道・定山渓温泉

札幌市内にある温泉街が「温泉に泊まる」だけじゃない魅力で、新たな需要を掘り起こそうと取り組んでいます。「温泉」にプラスする魅力とは？

温泉旅館やホテル22軒が建ち並ぶ「定山渓温泉」

札幌中心部から車で40分の「定山渓温泉」。温泉旅館やホテル22軒が建ち並びます。かつては企業の保養所が多く、社員旅行や家族旅行の定番でしたが、新型コロナで落ち込んだ宿泊数は以前の水準までは回復していません。

外国人宿泊客の多くは「登別温泉」や「洞爺湖温泉」へ

近年増えているインバウンド客は、より知名度のある「登別温泉」や「洞爺湖温泉」に多く泊まっています。

日本経済新聞社 札幌支社
浜野 琴星記者：
「（定山渓温泉は）宿泊を目的に来るところのイメージが強く、客室数以上の観光客とタッチポイントを持てないことが課題でした。『温泉に入る』以外の体験が集客の要で、インバウンドのみに頼らない戦略として仕掛け作りは欠かせません」

定山渓観光協会 橘 真哉マネージャー：
「温泉地は高年齢層がマーケットです。この先は若い方で地域を育てていき、愛されていくエリアを目指さなければいけません」

若い客を取り込める「温泉＋α」

そこで考えた仕掛けが「泊まらない客」「若い客」も取り込める「温泉＋α」。森を生かした飲食店のまちもそのひとつです。

ゆっくり凍らせた透明な氷を削り、ふわふわ氷にフルーツと手作りソース。100日限定のかき氷は、連日売り切れになりました。そして道産食材を組み合わせた新感覚の燻製や、道産小麦と牛乳を使った「スイーツ」など、個性あふれる店がにぎわいを演出しています。

「温泉＋サウナ」で日帰り客を狙う

一方、温泉宿では「温泉＋サウナ」を楽しんでもらえるよう、サウナを改修していました。定山渓温泉ではここ数年で22軒あるホテルのうち16軒でサウナを新設、リニューアル。日帰り客も含めた幅広い層を狙います。

定山渓万世閣ホテルミリオーネ 柴田明人副支配人：
「若い世代に利用してもらって、たくさん発信してほしいのが狙いです」

アウトドアの拠点としても楽しめる

さらに定山渓温泉は国立公園の中にあるのでその自然を生かした「温泉＋アウトドア」も。人気の渓谷SUPツアーなど、老舗のホテルが、本格的なアウトドア拠点をつくり展開しています。

野あそびベース フリルフスリフ 木村駿太さん：
「定山渓でアクティビティー。都市の中に自然が残っていて、その自然を使ったアクティビティーができる場所はなかなかありません。良くも悪くも温泉色が強いので、知らない人が9割以上ですね」

温泉に泊まる前後に遊んでもらうだけでなく、日帰りで定山渓に足を運ぶきっかけを温泉街全体でつくり出しています。

定山渓観光協会 橘 真哉マネージャー：
「本来、定山渓が目指すべき姿、道内、地域の方に愛される温泉地にいきつきます。そうなると、インバウンドにも注目される土地になります」