緊迫する中東情勢が、世界ブランド「松阪牛」の輸出戦略に影を落としています。高値での販売が期待されていたドバイへの出荷がストップし、肉が倉庫に留まる事態も発生。販路の柱として期待されていただけに、不安が広がっています。
■高値で売れる「ドバイ」へ!その矢先に…
明和町にある『三重加藤牧場』では、およそ400頭の松阪牛を育てていて、このうち5%ほどが海外へ輸出されています。
2020年から海外への販路拡大を目指して売り込みを行っている中、今とりわけ熱い視線を送っているのが、潤沢なオイルマネーで経済発展を遂げるアラブ首長国連邦の『ドバイ』です。 三重加藤牧場の加藤さん: 「ドバイに関しては、今年からしっかり輸出ができるようになった。富裕層がいるということで、松阪牛もしっかりとした値段で販売できます」 ドバイへの販売価格は国内よりも1.5倍以上高いということで、2026年7月から順次、10頭から20頭分の松阪牛を出荷することになっていました。
加藤さん: 「輸出云々と言いますか、戦争が起こっているので、それ以前の問題。いったん(輸出が)ストップになったことに関しては非常に残念です」 三重県によりますと、近年の日本食ブームもあり、松阪牛全体のおよそ10%がアメリカやシンガポール、オランダなど、様々な国や地域に輸出されています。中でも、高値での販売が望めるドバイへは、熱心に売り込みを行っているところでした。
ドバイへ輸出されるはずだった加藤牧場の松阪牛は現在、行き先が不透明な状態です。 加藤さん: 「輸出になるのか、国内での販売になるのかはまた別にして、生き物のコンディションが関わってくるので、できるだけ早く解決して、輸出ができるようになればいいなと思っています」
■保管料40万円を支払うことに…2頭分の肉がストップ
松阪牛の輸出を進める協議会の伊藤浩基会長に話を聞きました。 松阪牛は海外への輸出量・知名度ともに、近江牛・神戸牛・米沢牛などのブランド和牛と比べて遅れをとっている状態。そんな中で巻き返しを図るため、熱心に海外への売り込みを進めていて、ドバイへは2026年から安定した輸出が決まったところでした。
伊藤会長も松阪牛を育てていて、2026年3月にドバイへ2頭分の肉を送る予定がありました。既に肉は加工を済ませたものの、送ることができず、現在は兵庫県内の倉庫でストップしている状態だということです。
保管期間が延びたため追加コストもかかり、今のところ2カ月分の保管料40万円を支払うことになりました。伊藤会長は「早く状況が改善してほしい。今は全員同じ状況なので、前向きに進めていくしかない」と話しています。


