「日経平均10万円は意外と早い?」現役トレーダー・窪田剛さんが語る株高の“2つの理由”とNISAの考

「日経平均10万円っていうのは、比較的すぐやってくるんじゃないかなと思っています」
現役トレーダー・窪田剛さんが語った、今後の日経平均株価の見通しです。
しかし、株価が10万円まで上がれば、それだけで「日本が豊かになった」と喜べるわけではないといいます。

窪田さんが考える株高の理由は、大きく2つ。
一つは、日本企業が成長し、企業価値が高まることで株価が上昇するケース。
そしてもう一つが、「円の価値が下がることで、円で表示される価格だけが上がる」ケースです。

名古屋証券取引所とテレビ愛知が共同で運営するYouTubeチャンネル「あしたのマネー」。
「株の学校ドットコム」講師で、20年以上株式市場と向き合ってきた窪田さんを迎え、今回は、日経平均の今後から、新NISAの使い方、窪田さん自身のポートフォリオ、そしてこれから注目する分野まで聞きました。

日経平均10万円 「2つの可能性」がある

窪田剛さん

今後も日経平均株価は上昇するのでしょうか。
岡田アナから聞かれた窪田さんは、「年内は難しい」と前置きしながらも、数年という時間軸では10万円という水準が視野に入る可能性があるとの見方を示しました。
ただし、重要なのは「なぜ10万円になるのか」です。

「一つはポジティブに日本の企業が成長していく。それによって株価も上昇して、日経平均10万円というのが一つ」
企業が利益を増やし、成長することで株価が上がる。
投資家にとって分かりやすい「良い株高」です。
一方で、もう一つの可能性を窪田さんは指摘します。
「円の価値が下がることによって、価格だけ上がってしまう」
例えば、日本企業の価値そのものが大きく変わっていなくても、円安が大幅に進めば、円で表示される株価には上昇圧力がかかる可能性があります。
給料や生活水準が同じように上がっていなければ、日経平均が10万円になったとしても、必ずしも私たち自身が豊かになったことを意味するとは限りません。
「日本企業の成長による10万円」なのか。
「円の価値低下による10万円」なのか。
同じ「日経平均10万円」でも、その中身を見る必要があるといいます。

稼いだお金を「全部円」で持つことにもリスク

岡田愛マリーアナウンサー

窪田さんが短期トレードをする際、為替の動きを理由に取引方法を大きく変えることはないといいます。
数日から数週間程度の短期売買では、長期的な為替見通しの影響を受けにくいからです。
一方で、トレードで得た利益や、当面の生活に使わない資金をすべて日本円だけで保有することについては、リスクを感じていると話します。
そのため、資産の一部をドルやユーロなど日本円以外の通貨で持つことも一つの考え方だといいます。
すべてを外貨に換えるのではなく、一部を分散する。
窪田さんは、これを大きな利益を狙う「投資」というよりも、「資産防衛」の考え方に近いと説明します。
もちろん、為替は円安方向に動くとは限りません。円高になれば外貨資産の円換算額が減ることもあり、外貨預金などには手数料もあります。
大切なのは「円だけ」「外貨だけ」と一つに決めつけるのではなく、自分の収入や資産全体を見ながら考えることです。

「NISA貧乏」になってまで枠を埋めなくていい

松本慈子さん

話は新NISAへ。
NISAを始めている松本慈子さん(SKE48)が、「初心者はどう使っていけばいいですか?」と尋ねました。
窪田さんがまず強調したのは、非課税枠を無理に使い切る必要はないということです。

「『NISA貧乏』って言葉もあるぐらい、枠を埋めようとして生活を犠牲にしてしまう人もいるって聞くんですけど、そこまではしない方がいい」

将来の資産形成は大切です。
しかし、投資額を増やすために現在の生活を切り詰めすぎてしまえば、本末転倒になりかねません。
窪田さんが前回までの出演でも繰り返してきたのは、「お金は人生を豊かにするためにある」という考え方。
NISAも、非課税枠を埋めること自体が目的ではなく、自分の生活に余裕を残しながら使うものだといいます。

NISAは「海外のインデックス」を選ぶ?

NISAの活用方法は

では、窪田さん自身が長期のNISAを使うとしたら、どんな商品を考えるのでしょうか。
窪田さん個人の考えとして挙げたのが、海外資産を組み入れたインデックス型の商品です。
日本で働いていれば、給料は日本円で受け取る人が多く、日常生活も日本円を中心に成り立っています。
そこにNISAの資産まで日本株だけで持つと、生活も金融資産も日本に偏ることになります。
そこで、長期間保有するNISAでは海外資産を持つことで、資産全体のバランスを取るという考え方です。
窪田さんは、米国株式を広く対象とするインデックスや、全世界株式型の商品などを例に挙げました。
ただし、これは窪田さん個人の考え方です。
どの商品が適しているかは、年齢や収入、保有資産、投資目的、どこまでリスクを取れるのかによって変わります。
「NISAならこれを買えばいい」という唯一の正解があるわけではありません。

「50万円のバッグより10万円の株」

好きなブランドの株を買えるのもNISAの面白さ

インデックス投資の話が続く中、窪田さんから少し意外な提案も飛び出しました。
好きなブランドや企業の株を、資産の一部で持ってみるというものです。
例えば、エルメスやルイ・ヴィトンなど、普段から興味のあるブランド。

「もちろんバッグを買うのもいいけど、バッグを買う人を見て『しめしめ』って思うのも(笑)」

岡田アナと松本さんも思わず笑います。
好きな企業の株主になれば、それまで「買う側」としてしか見ていなかった商品やサービスを、会社の成長という別の視点から見るようになるかもしれません。
「50万円のカバンより10万円の株(笑)」
その株が成長すれば、いつか利益でバッグを買える可能性もあります。
もちろん株価は下落することもありますが、資産の一部で、自分が好きな企業を応援するように株を持つ。
窪田さんは、長期投資にはそんな「楽しさ」があってもいいと話します。
「楽しくないと続きにくいですからね」

現役トレーダーなのに、運用は「日本株100%」

窪田さんのポートフォリオは日本株100%

長期の資産形成では海外資産も選択肢に挙げる窪田さん。
ところが、自身が普段トレードしているポートフォリオについて聞くと、意外な答えが返ってきました。
「100%日本株なんですよね」
エンジェル投資や不動産などは別にありますが、日々トレードする資産は日本株を中心に運用しているといいます。
なぜ、アメリカ株やヨーロッパ株まで売買しないのでしょうか。
答えはシンプルです。

「日本株だけで儲かるから」

そしてもう一つが、自分の時間を守るためです。
海外市場まで追いかければ、取引できる時間は増え、収益機会も増えるかもしれません。
しかし、そのために夜までアメリカ株を見て、さらにヨーロッパ市場も追いかければ、家族との時間や運動、勉強などを犠牲にすることになります。
窪田さんは20代の頃、24時間動くFXも含めてマーケットを追い続け、「遊んだ記憶がほとんどない」という生活を経験しました。
お金と時間の自由を得るために始めたトレードなのに、トレードによって自由な時間を失ってしまう。
その経験から、現在は自分に必要な市場だけに集中しています。

AIの「次」に注目 期待するのはAI×創薬

窪田さんがAIの次に注目するのは

今後、どんな分野に注目しているのでしょうか。
窪田さんがまず挙げたのは、引き続きAIです。
ただし、関心は「AIを作る企業」だけではありません。
AIを実際に使うことで、これまで難しかったことが実現する産業へと関心が移りつつあるといいます。
その一つとして挙げたのが「創薬」です。
新薬の開発には長い時間と多額の費用がかかり、成功するとは限りません。
しかし、AIによる計算や解析が進歩すれば、新しい薬の候補を見つけたり、研究開発の確率を高めたりする可能性があります。
窪田さんは収録時点で話題となったmRNAを使ったがん治療のニュースにも触れながら、AIが人の健康や病気の治療につながる段階が近づいているのではないかと期待を語りました。
「AIそのもの」の次に、「AIを使って何が生まれるのか」。
今後は、そこから新しい注目分野が出てくるのではないかとみています。

お金を稼いだその先に「学べる場所を作りたい」

窪田さんのお金を稼いだ先の夢は

最後に、松本さんが尋ねました。
「窪田さんがお金を稼いで、その先の夢ってあるんですか?」
窪田さんが学生時代から持ち続けてきた思いは、「学校を作ること」でした。
自分自身は学ぶ環境に恵まれた。
一方で、勉強したくても、学べる場所や機会がない人もいる。
場所さえあれば、その先で勉強するかどうかは自分で選べます。
だからこそ、「学べる場所」を作りたいと考えてきたといいます。
そして現在は、株や金融について学ぶ環境にも同じ課題を感じています。
SNSやYouTubeには膨大な情報があります。
しかし、その情報を自分で選び、体系的に学んでいくことは簡単ではありません。
「何もできない」と最初から諦めてしまうのではなく、正しく学べば、自分にもできる可能性があると知ってほしい。
「ワンチャンできると思ってチャレンジしたら、できたので」
もちろん、投資にはリスクがあります。
勉強したから必ず利益が出るわけでもありません。
それでも窪田さんは、「自分にも何かできるかもしれない」と思えること自体が、人生を前向きにする力になると話します。

日経平均10万円になった時、私たちは豊かになっているのか

日経平均10万円で日本は豊かになるのか

日経平均10万円。
その数字だけを見れば、日本株が大きく成長したように感じるかもしれません。
しかし、重要なのは「なぜ株価が上がったのか」です。
企業が成長したからなのか。
円の価値が変わったことで、数字だけが大きくなったのか。
そして、その環境の中で、自分の資産をどのように持つのか。
NISAの枠を埋めることだけに追われていないか。
投資のために、今の生活を犠牲にしていないか。
窪田さんが4回にわたって語ってきたのは、単に「株で儲ける方法」ではありませんでした。
株をどう選ぶか。
いくら買うか。
どう負けるか。
そして、増やしたお金を何のために使うのか。
日経平均がどこまで上がるか以上に、自分自身がお金とどう付き合っていくのか。
それを考えることが、資産形成の第一歩なのかもしれません。

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