ロシアとウクライナの和平は実現するか 鍵は「クリスマス停戦」と「ドネツク州」 中村逸郎氏の独自解説

アメリカが仲介するウクライナの和平は実現するのでしょうか。12月2日、ロシアのプーチン大統領が会談したのは、アメリカのウィットコフ特使らです。5時間にも及んだ会談の議題は、ウクライナ和平案。会談後、ロシアのウシャコフ大統領補佐官は「われわれはいくつかの点を批判し、大統領も否定的な態度を隠さなかった」と話しました。

ロシア側が和平案に不満を募らせた理由について、専門家は、ウクライナのドネツク州が鍵だと分析しています。
筑波大学 中村逸郎名誉教授:
「プーチン側からするとドネツク州が8割しか取れていない。ウクライナ軍がこのドネツク州から撤退します。そうすれば、とりあえず『停戦に応じますよ』という流れになっています。トランプはゼレンスキー大統領に対して、ドネツク州からウクライナ軍が撤退するように説得しているという状況です」
「クリスマス停戦」があるのではないかと推察

その交渉期限として、中村さんは、「クリスマスが1つのタイミングになる」と分析しています。
筑波大学 中村逸郎名誉教授:
「個人的に思っているのは、それはクリスマス停戦というところで、ひとまずは停戦になるのではないかと思っています。ロシア側の状況を見てみると、軍事費が政府の歳出の半分を占めるまでになっています。今(2025年)、ロシア人の消費税は20%。ところが来年(2026年)には22%になるという報道も出てきて。どんどん消費税が高くなっていくことに対するプーチン政権への反発心が、ロシア国内でも大きくなってきています」

和平案に難色を示したプーチン大統領。満面の笑みを見せて一緒に握手を交わしていたのは、インドのモディ首相です。
アメリカからの圧力が強まる中、プーチン大統領は、インドを4年ぶりに公式訪問しています。その意図について、中村教授は「国際舞台でロシアが孤立していないことを見せたい」と見解を示します。
筑波大学 中村逸郎名誉教授:
「(ロシア国民からは)どうやらロシアは国際的に孤立しているのではないかという風に見えます。プーチン大統領がインドを訪問して、モディさんがプーチンを迎えて、2人で長い間ハグを交わすと、そういったことでプーチンからすれば、国際舞台で孤立していないことを見せたいのではないかと」
インドに“見返り”を求めている可能性

インドとの協力関係を強化すれば、ロシアはある“メリット”も享受できると、中村さんは指摘します。
筑波大学 中村逸郎名誉教授:
「(ロシアは)欧米からの経済制裁がガンガン効いています。インドに天然ガス、原油を輸出することによって、見返りとして工業製品、食糧を輸入したい、と。ロシア国民の不満を抑え込みたいという思惑があるのではないでしょうか」





