9月8日の豪雨で、道路の冠水や川の氾濫が発生した名古屋。被害軽減に繋がったとされるのが、地下にある巨大空間です。東海豪雨をうけて整備が加速。2049年度を目指した計画が今も進んでいます。
観測史上最大の雨量 「川として安全に流せる規模を超えていた」

9月10日午前10時半ごろ、名古屋市東区では、大雨で水につかった車の撤去作業が行われていました。名古屋市によると、市内では200台の車が被災しているということです。
愛知県西部や岐阜県美濃地方では8日、線状降水帯が発生し、名古屋市では1時間あたりの雨量が東海豪雨を超えて、観測史上最大の104.5ミリを観測。各地で冠水などの被害が相次ぎました。

天白区や名東区を流れる植田川も濁流と化していました。水の量は川の限界を超えてあふれだし、車が流されるほどに。のり面が激しく崩れ、手すりが大きく崩壊した場所も。
今回の大雨について、名古屋市の河川担当者は…
名古屋市緑政土木局 河合祐輔 課長補佐:
「計画を超えるような雨が発生することは想定としてはありましたが、(今回)川として安全に流すことができる規模は大きく超えていました
名古屋の地下に巨大空間!? あふれた雨水を逃がす“切り札”

想定を超えた雨が降ったといいますが、実は被害を抑えるための“切り札”が用意されていました。それは、地下に設けられた「雨水の逃げ道」です。
植田川の上流部には“せき”があり、水位が上がるとオーバーフローして、水路を通って調節池に流れる仕組みになっています。

その水がためられているのは、地下鉄東山線上社駅の地下。そこには最大3万5000トンもの水をためることができる巨大空間が広がっていました。一時的に川からの水をため込みます。
名古屋市緑政土木局 河合祐輔 課長補佐:
「今回それが施設の運用上(貯留施設が)いっぱいになったが、この施設がなかったら植田川の氾濫がもっとひどいものになっていたりとか、浸水被害が拡大した恐れがあると思います」

植田川の水はあふれてしまいましたが、この施設があったことで浸水被害を最小限に抑えることができたといいます。
名古屋市緑政土木局 河合祐輔 課長補佐:
「浸水被害を完全に解消することは難しいですが、引き続きハード整備というのが非常に効果が大きいですので、こういった整備をしっかりと進めていきたいと考えております」
教訓は「東海豪雨」 2049年度までに“床上浸水解消レベル”目指し整備中

大量の雨水が流れ込み川のようになった線路も、一夜明けた午前中には運転を再開。道路の冠水についても長引くことがなかったのには、2000年に名古屋市などを襲った東海豪雨の教訓がありました。
名古屋市によると、東海豪雨後、“雨水をためる施設”の整備を加速させたといいます。

2025年の夏ごろから一部運用が開始されている名古屋中央雨水調整池。巨大な地下トンネルに約10万トンの雨水をためることができるといい、8日の豪雨では、運用後初めて満杯になったということです。
現在、市内には雨水をためる施設が179か所あるといい、100ミリの雨が降っても床上浸水をおおむね解消できるレベルを目指して整備中。おおむね2049年度までの計画で進められています。

こうした名古屋市の洪水対策について、専門家は…
名古屋大学 減災連携研究センター 田代喬特任教授:
「他の大規模な都市型水害を経験していない街に比べると、(名古屋は)先進的な対策が取られているというふうに言える。整備途上なので、その機能をすべて発揮するということはまだできない状況ではありますが、局所局所で大規模に整備されたインフラが効果を発揮し、浸水をある程度軽減している状況になっているかなと思います」

一方、名古屋の治水対策はまだ整備途上で、機能をすべて発揮できていない状況だと指摘。100ミリを超えるような雨での想定も検討が必要だといいます。
名古屋大学 減災連携研究センター 田代喬特任教授:
「今後の気候変動による雨の降り方の変化を見据えて、見直していくということも必要になってくるかもしれませんね」


