11月26日は「いい風呂の日」 冬場に多発する“ヒートショック”に注意…その予防法は?
11月26日は語呂合わせで「いい風呂の日」です。風呂で事故に遭わないための注意点を取材しました。
「いい風呂の日」は、入浴剤のメーカーなどで作る「日本浴用剤工業会」が登録した記念日です。
名古屋市緑区にあるスーパー銭湯「みどり楽の湯」では、朝からたくさんのおふろ好きでにぎわっていました。
「いい風呂の日だから来ました」(30代)
楽しい入浴の前後に、気を付けなければいけないことがあります。
ヒートショックに注意
寒くなってきて、注意が必要なのがヒートショックです。
多くの人でにぎわうスーパー銭湯では、どんな対策をしているのでしょうか。
「ヒートショック」とは、暖かい場所から寒い場所への移動など、急激な温度の変化により、血圧が上下に大きく変動し、心臓や脳に重大な病気を引き起こす現象で、死に至るケースもあります。
入浴するときは要注意
注意すべきは、屋内と屋外の気温差だけではありません。
この時期からは、家の中でも温度差が大きくなってきます。
特に、入浴するときは要注意。
暖房の聞いた部屋から暖まっていない脱衣所などに移動する際の温度差が、ヒートショックのリスクを高めます。
Q.ヒートショックについてどう思う
「年を取ってくると気を付けないといけない」(50代)
Q.子どもの入浴で気を付けていることは
「すぐにおなかなどに(お湯を)かけてしまうと、熱いってなるかもしれないので足からかけたりする」(30代)
浴槽で死亡した高齢者は年々増加傾向に
厚生労働省の調査によると、浴槽で溺れるなどして死亡した高齢者は、年々増加傾向にあり2022年には全国で6307人にのぼります。
また、消費者庁が2019年に調査したところ、死亡事故は1月をピークに冬場に多く発生しているといいます。
朝夕の急激な温度変化も多いなか、「みどり楽の湯」では館内の温度設定を特に気を付けているといいます。
「館内入り口の空調温度は約22~23℃に設定していて、脱衣所の方になるにつれて約23~24℃になるように、段階的に温度調整をするよう心がけています」(みどり楽の湯 山元貴裕店長)
サウナに出入りする際は特に温度差に注意
浴室内にもヒートショック対策が――
Q.ウォーターサーバーの位置も工夫している
「浴室内風呂の中央に、どなたでも目につく場所に置いているので、水分補給をまめにできる場所に設置している」(山元店長)
ほかにも、サウナに出入りする際は特に温度差に気を付ける必要があるといいます。
「サウナは80℃を超える設定温度で、お風呂より(外との)温度差が大きいので、ぬるいお風呂から順に入って体をしっかりと温めて、体の水分をふき取ったうえで、お楽しみいただくのが理想」(山元店長)
またヒートショックに注意して、正しいお風呂の入り方をしてほしいと話します。
「気温が下がってからの方が需要が高くなるので、正しい入り方を理解したうえで、ご入浴を楽しんでいただければ」(山元店長)
ヒートショックの予防法は?
東京都市大学の教授で「お風呂ドクター」の早坂信哉さんに、ヒートショックの予防法を聞くと――
「一番大事なのは、実は温度差をなくすということになる。脱衣所を温めてほしくて、リビングとの温度差は5℃以内に。1回入浴すると800mlも脱水になるという研究もある。あらかじめ(水を)飲んでおくことがとても大事で、入浴する前に飲んでおく、入浴後もコップ1杯2杯の水分をとる」(“お風呂ドクター” 早坂信哉さん)
麦茶や牛乳、イオン飲料でも吸収がいいとのこと。
お湯のかけ方にもポイントが…
お湯のかけ方にもポイントがあるといいます。
温泉宿の電話予約サービスを展開する「ゆこゆこ」が行った調査では、最初にかけ湯をする部位について「腹から下」、「首から腹」、「背中から腰」と、4人に1人が体の中心部から、かけ湯をしている結果となりましたが、早坂さんが指摘するポイントは――
「かけ湯はあくまで体をお湯に慣らすことが目的なので、急に体の中心にかけてしまうと、かけ湯そのもので体がびっくりしてしまう、血圧が上がってしまう可能性があるので、手足の末端から少しずつかけることが大事」(早坂さん)
サウナの後も、いきなり水風呂に入るのではなく手足の末端から水をかけ、水風呂の温度に慣らすことがヒートショックの予防につながるということです。