元保険のプロが明かす資産運用のコツは「難しく考えないこと」 ポートフォリオや大注目の半導体業界も解説

名古屋証券取引所とテレビ愛知が共同で運営するYouTubeチャンネル「あしたのマネー」に、YouTubeチャンネル「鳥海翔の騙されない金融学」を運営する株式会社Challenger代表の鳥海翔さんが出演しました。元保険会社勤務で、保険のスペシャリストの証である「MDRT会員」の資格も持っていた鳥海さんが、自身の経験や、実践している資産運用の方法について語りました。

会社を辞めようと思ったきっかけと、30歳での退職

鳥海翔さん

鳥海さんは、もともと大手保険会社に就職して8年ほど働いていました。収入はそれなりにありましたが、自分の好きなことややりたいことを抑え、ストレスを抱えて生きていくことに疑問を持っていた時期がありました。
そんなとき、鳥海さんは「資産運用」の仕組みを知ります。「10年、20年、30年とお金を貯めて運用していけば、そのお金が働いてくれて不労所得のようになる。今から頑張れば、一生この仕事を続けなくてもいいかもしれない」と考えました。これが、いつか会社を辞めようと思った最初のきっかけでした。当時は「20年後(45歳くらい)には会社を辞められるだろう」と予想していたと言います。

しかし、現実は30歳のときに会社を辞めることになります。それは資産運用がうまくいくようになったからではなく、むしろ「資産運用は全然うまくいっていなかったけれど、辞めた」と鳥海さんは話しました。
退職の背景には、鳥海さんの20歳上の先輩の姿がありました。その先輩が会社を辞めて保険代理店として独立し、ものすごく儲かっているのを見て、「すげえな、こうやって生きていくことってできるんだ」と感じたそうです。そうして会社を退職した鳥海さんは、その先輩のもとでスタッフとして働き始めました。しかし、「半年くらいで仲違いしてしまい、どうしようとなった」と振り返ります。その後、保険会社時代の元上司に相談したところ「独立したら?」と勧められ、「人生で社長と名乗れるタイミングは今しかないかもしれないから、試しにやってみよう」と決意して、自身の会社を立ち上げました。

会社を始めた当初は、自分がよく知っている損害保険と生命保険の販売を行っていましたが、2016年から2020年にかけて日本の金利が大きく下がり、保険でお金を貯めても全然増えない時代になってしまいます。今まで売れていた商品が突然売れなくなり、鳥海さんは「保険でお金を貯めようという考え方自体が間違っているのではないか」と気づきます。そこから、開き直って証券会社に問い合わせをしたり、新しい運用の勉強を一から始めたりしたそうです。

投資のポリシーは「難しく考えない、適当にやる」

投資のポリシーは「難しく考えない、適当にやる」こと

鳥海さんが掲げる投資のポリシーは、非常にシンプルです。それは「難しく考えない、適当にやる」ということです。
鳥海さんは、「みんな投資を難しく考えすぎ。難しく考えるからドツボにはまる」と話します。投資でお金を増やすためには、以下の原則を守ることが大切だと語りました。

例えば、3000万円ほどの元手があれば、長い時間をかけることで1億円に増えることは普通にあり得る。ただし、100円を1億円にすることは絶対にできない。また、投資した株が来年すぐに10倍になることも絶対にない。つまり、「長い年月をかけて、それなりの金額を投資すれば、それなりに増える」。
この原則さえ守っていれば、適当にインデックス投資をしておくだけでお金が増えないわけがない、と言います。このルールさえ押さえておけば、「どこに投資をするか」「どのタイミングで買うか」などはどうでもよく、「そんなことを考えている暇があったら働いた方が良い」とアドバイスしました。

鳥海さんのポートフォリオは「8割インデックス、2割は半導体」

鳥海さんのポートフォリオの8割はインデックス

実際の鳥海さんのポートフォリオは、「ほとんどがインデックス投資」です。
経験のために、アメリカの半導体大手「NVIDIA(エヌビディア)」の株や、特定のETF、投資信託などを少しずつ買うことはありますが、それは本気でお金を増やそうとして買っているわけではないそうです。基本はインデックス投資で、自分が60歳くらいになったときには確実に増えていると考えているため、日々の値動きに焦ることはありません。

鳥海さんは、全体の約8割を安全なインデックス投資にし、残りの約2割で少しリスクを取って高い利益を狙うという「コア・サテライト戦略」をすすめています。
現在、その「2割の攻める投資」として鳥海さんが注目しているのが「半導体業界」です。
AI(人工知能)や半導体は、政府の成長戦略にも組み込まれており、これから伸びることが期待されています。鳥海さんは「5年後や10年後のスタンダード(標準)がどうなっているかははっきり分からないけれど、半導体だけは多分間違いないだろうという気がする」と話します。ただ、これは鳥海さんの感覚的なものであり、ずっと持ち続ける前提のインデックス投資とは違って、半導体への投資は「2030年頃」を一つの目安として、一度区切りをつける予定だと話しました。2030年の時点で、まだ伸びそうなら持ち続けるかもしれませんが、一度区切ったらその資金はインデックス投資に移すか、そのときに新しく伸びている別の業界へ移す方針だそうです。

なぜ「半導体」と「電力」なのか?

鳥海さんが注目するのは半導体と電力

鳥海さんが半導体に注目するのには、明確な理由があります。
直近のグーグル、アマゾン、マイクロソフトといった世界大手のIT企業の決算を見ると、AIに関する部門の売り上げが爆発的に伸びています。これまでは「確かに技術としてはすごいけれど、本当にAIで儲かるのか?いくらお金を生むのか?」と言われていましたが、実際に大きな売り上げを生んでいることが分かってきました。
現在、世界的に株価が上がっている原因のほとんどがAIや半導体です。例えば、韓国や台湾の株価指数が大きく上がっているのは、サムスンやSKハイニックスといった半導体関連の企業が全体を引っ張っているからです。半導体以外の業界はそれほど伸びていません。日本の日経平均株価が上がっているのも、同じように半導体関連の企業が原因です。
さらに鳥海さんは、半導体が伸びることで「電力」の需要も非常に多くなると予想しています。AIや半導体を動かすには大量の電気が必要で、2030年までに必要な電力量は現在の2倍になると言われています。そのため、「半導体」と「半導体にかかる電力」の2つの分野は、2030年に向けて期待ができると解説しました。

情報の集め方と「自分の知識」にする方法

鳥海さんはどこから情報を得ているのか

番組の最後に、SKE48の松本慈子さんから「そういった情報はどこから得ているのですか?」と質問された鳥海さんは、その独自の収集術を明かしました。
鳥海さんは、Xやヤフーニュース、さらに「ブルームバーグ」や「フィナンシャル・タイムズ」といった海外の経済専門メディアをチェックしています。海外のニュースは英語で書かれていますが、鳥海さんは「記事のスクリーンショットを撮って、ChatGPT(対話型AI)に『これ何て書いてあるの?』と聞いて、日本語に訳してもらって読んでいる」と話しました。
また、ただ情報を読む(インプットする)だけでなく、それを「自分のYouTubeチャンネルで解説するならどう話そうか」と、自分なりの言葉に言語化することを大切にしています。解説しようと考えると次々に疑問が湧いてきます。それをさらに自分で調べて言葉にできるようになることで、初めてその情報が「自分の本当の知識」になっていく、と仕事の裏側を語りました。

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