認知症は、早期発見が難しいとされていますが、わずか3分で認知症の兆候を検知するアプリが登場しました。判断の鍵を握るのは…目の動きです。
患者の視線から判断力や記憶力を点数化

ーー大阪大学医学部附属病院のもの忘れ外来には、認知機能に不安を抱える患者と家族あわせて1日90人ほどが訪れます。
大阪大学医学部 武田朱公准教授:
「アルツハイマー型認知症といった病的な記憶障害ではないとは思うんですけれどもね」
ーー日本で増える認知症患者。その予備軍とされる軽度認知障害(MCI)を持つ人とあわせると、1000万人を超えます。軽度認知障害の段階で早期発見できれば、効果的な治療につながる可能性が高まるとされています。しかし、認知症を専門とする武田朱公准教授は早期発見の難しさを感じていました。
大阪大学医学部 武田准教授:
「従来は専門の外来で時間の掛かる問診の検査をしていたので、検査をするのが非常に難しかった」
ーー従来の検査は医師の問診が約20分続き、患者の負担が大きく、答えられない不安やいら立ちなどから受診を控える場合も多いといいます。結果、症状が進んでから発見されることが多いそうです。そうした中、所要時間わずか3分という検査が「ミレボ」というアプリで行います。このアプリは、タブレット画面上の視線の動きを認識。患者に問題を出して、正解と思う箇所を見つめる形で回答してもらいます。視線が正解にたどり着く早さや迷いがあったかといった情報をもとに、判断力や記憶力を点数化します。
大阪大学医学部 武田准教授:
「アプリの検査が広まってくると早めの段階で変化に気づくことができる可能性が出てくるということで、認知症は予防が大事。そういったところにも今後期待できる」
脳の健康度を測定するアプリも提供中

ーーこのアプリ、2023年10月に医療機器としての承認を受け、2025年1月には認知症の医療機器プログラムとして国内で初めて保険適用が始まりました。開発したのは、大阪大学発スタートアップ企業の「アイ・ブレインサイエンス」。創業者の高村健太郎社長は元々、医療機器開発に携わっていました。大阪大学の武田准教授らと出会い、認知症の予防・早期発見に関する研究成果の製品化をすべく、会社を立ち上げたのです。
アイ・ブレインサイエンス 高村健太郎社長:
「問診検査しかできなかったのが、もっと違う形で数多い認知症患者の役に立つというマーケットができると考えている」
ーー早期発見の裾野をさらに広げるビジネスも。フィットネスジムや高齢者が集まる施設で利用が始まっている「ミルダケ」というアプリ。脳の健康度を測定するもので、医療機器ではありませんが、記憶力や判断力といった認知機能を測る仕組みは「ミレボ」と同じです。気軽に体験でき、数値の向上が認知症予防につながるといいます。さらに、これまでの兆しの発見にとどまらず、症状の改善を目指す治療アプリも開発中です。患者一人ひとりの弱った機能に合わせて計算や記憶に関する問題を解いてもらい、脳の機能改善につなげます。2026年秋ごろに治験を開始する計画です。
日本経済新聞社 掛川悠矢記者:
「検査は絵や図形が中心ということで、言語の壁がないので、すでに海外アメリカ、オーストラリア、フィリピン、マレーシア、インドネシアの5カ国で医療機器プログラムとして承認済みです。非常に国内外それぞれ伸びる可能性があるスタートアップだなと思っています」
アイ・ブレインサイエンス 高村社長:「あと20年ぐらいすると、世界の認知症患者は1億人を超えるんですね。ニーズは非常に高いと思います。どこの国も皆、問診からスタートする。そこをアプリに置き換えることで、治療や早期発見の間口を広げるというところにビジネスチャンスもあると考えています」


