【イマネタ】被災地出身の辻口シェフ「被災された方の1つの支えに」 ショコラの祭典に臨む決意とは

18日に初日を迎えたジェイアール名古屋タカシマヤの「アムール・デュ・ショコラ」。今回ある決意をもってアムールに臨む一人のレジェドショコラティエがいました。

「午前10時になりました。今年のアムール・デュ・ショコラが開幕しました。早めに入場したお客さん、10時に会計がスタートしました。もう大行列です」（竹田基起アナウンサー）

　今年もこの時期がやってきました。去年は70万人が来場し、その売り上げは34億円。

　名古屋が誇る、日本一、いや世界一のショコラの祭典「アムール・デュ・ショコラ」が開幕しました。

　18日は初日、人気シェフが店頭に立つという事もあってか会場は大盛況。

「（総額は）6万円以上。(予算)10万円以内で頑張る」（30代）

　今年は世界約150ブランド、2500種類が集まりました。

　「アムール・デュ・ショコラ」を今回並々ならぬ思いで店頭に立つ人が、アッシュチョコレートワールドの辻口博啓さん。

　辻口さんは数々の洋菓子の世界大会で優勝を重ねる、日本を代表する超人気のレジェンドシェフでもあります。

「被災地に入った時は呆然とたたずむしかない。信じられないですね。まだ受け止められない」（アッシュチョコレートワールド 辻口博啓さん）

　辻口さんは今回の能登半島地震で住宅被害が7700棟を超えた石川県七尾市出身。

　地震が発生した元日は仕事で名古屋に来ていたといいます。

「いきなりスマホが鳴り始めて南海トラフじゃないかと思って…。そしたら能登だった。『能登の地震が名古屋まで来るの？』ってちょっと驚きと戸惑い」（辻口さん）

　七尾市にもお店を構えていた辻口さん。

　海に面した場所に位置しているため、スタッフの安否が心配されましたが、翌日には全員の無事が確認できました。

　一方、店は――

「店の方はオーブンが倒れたり、（土の中で）上下水道が切断されている。いつ復旧になるかは全くわからない状態」（辻口さん）

　地震発生から10日後、故郷の七尾市に向かった辻口さんは仲間のパティシエなどの協力もあり3万個の洋菓子を避難所などに届けたといいます。

「被災地に入られて、ずっと自分が暮らしてきた町が大きな被害を受けていた。どんな気持ちになった？」（竹田アナウンサー）
「普段学校に行く道とかあるんですよ。色々なおじさん、おばさんがいた家がぺしゃんこになっていて、そんな光景を目の当たりにすると人間の無力さを感じる。まだちゃんとは受け止められない」（辻口さん）

　被災地入りしてからは七尾駅の前のお店の厨房を借りながら、毎日600人分の海鮮丼と洋菓子を地元のシェフなどに協力してもらい作り続けたといいます。

「白菜や玉ねぎを切ったり、そういうことを一緒にやることによって被災地を少しでも勇気づけたい」（辻口さん）
「今年のアムールに臨む気持ちは今までとは違う？」（竹田アナウンサー）
「アムールに来て感じるのは多くの方々に募金をしていただいて被災地に届ける。それしかない。アッシュチョコレートワールドでは僕が直接集めた募金を知事に渡します。とにかく子どもたちの栄養の部分と、まだ学校に行けない子どもたちがたくさんいるので、そういった子どもたちのケアに募金を使ってもらいたい」（辻口さん）

　辻口さんの積極的な呼びかけもあって、18日は多くの人が募金に協力していました。

「募金はどんな思いで？」（竹田アナウンサー）
「（辻口さんが）被災地にご自身の商品を送ったことも聞いているので、被災された方は1日でも早く笑顔で過ごすことができれば」（募金をした来場者）
「一つの応援のような気持ちが？」（竹田アナウンサー）
「金沢の旅行に去年行ったのもあって、地震のことがすごく気になっていた。辻口さんもたくさん金沢に通われてボランティアとか炊き出しとかやっていらっしゃるので、募金したかったというのもあった」（募金をした来場者）
「『頑張ってください』って声かけましたという方もいた。募金している人も拝見した」（竹田アナウンサー）
「皆さんが応援してくれるのが肌で感じられて、またこの思いを胸にアムールが終わってから被災地に入るので、少しでも被災された方の1つの支えになっていきたい」（辻口さん）