【イマネタ】被災地のニーズを確認し必要な物資だけを送る“マッチングサイト”　画期的な取り組みの半面、課題も

能登半島地震の被災地はまだまだ大変ですが、被災地が混乱しないための画期的なサイトを愛知県清須市の企業が開発しました。いったいどんなサイトでしょうか。

　被災地では物資は届きつつあるも、まだまだ様々なモノが必要な状況です。

　そんな中、こんなことが――

「段ボールを開いてみると賞味期限が切れているものだったり」（地元のボランティア 平田明珠さん）

　レトルト食品の賞味期限は2022年7月、4年以上前に賞味期限が切れた飲み物もありました。

　送られてきた物資の中には賞味期限切れの食品や使えないモノなども含まれているといいます。

　そんな中、このような事態を防ぐ画期的なシステムを、愛知県清須市のベンチャー企業コケナワが開発していました。

　コケナワは携帯トイレなどを扱う防災、アウトドアメーカーです。

　おじゃますると――

「集められた物資を運び出す作業が行われています」（島津咲苗アナウンサー）

「衣類は1着ずつ袋に入れる？」（島津アナウンサー）
「袋に入れないと、雨などで汚れていっちゃうので、もらう人のためにきれいな状態で渡したい」（スタッフ）

　15日は150人分の衣類や食料品などを石川県七尾市へ送る作業が進められていました。

　コケナワが開発された画期的なシステムとはいったいどんなものでしょうか？

「『デジタル大使館』という支援マッチングサイト」（コケナワ 苔縄義宗代表）

　マッチングと聞いて頭に浮かぶのは、共通の趣味などを持った人を合わせる、マッチングアプリですよね。

　コケナワが開発したマッチングサイト「デジタル大使館」は「物資が欲しい」と「物資を送りたい」をマッチングさせるサイトです。

　何が画期的なのかというと――

「現地で何が必要か分からないまま送ってしまうと、物流の混乱や無駄が発生してしまう。本当に必要なものかニーズを確認してからマッチングする」（苔縄代表）

　被災地には「必要になるだろう」と予想された物資が送られてくることが多いので、中には使わないものも出てきます。

　一方、物資のマッチングサイト「デジタル大使館」は被災者のこれが必要という声に対して、事前に送りたいものを登録した個人や企業をマッチングさせるので、物資が余るなどの無駄がない。

　さらに、事前に「新品もしくは新品同様かどうか」「賞味期限は大丈夫か」など、細かくチェックされているので現地での混乱が生じにくい。

　こうしたことから被災者が欲しいものを求めたら、最短3日で届けられるといいます。

　EDWINやローソンなど大手企業もこの物資のマッチングサイトに登録していて、支援企業は約200社、支援する個人の登録者も1000人を超え、これまでに1万7000点の物資が集まり、マッチングに成功しているといいます。

　代表の苔縄さんも物資の運搬を手伝うため、6日に被災地に行っていました。

「『これが必要だったのか』と意外だったものは？」（島津アナウンサー）
「レトルト食品や水は届いている。それを実際に食べたり飲むための 紙皿・紙コップが必要というのが盲点だった」（苔縄代表）

　物資のマッチングサイト「デジタル大使館」はサイトが立ち上がってまだ2週間あまりということで大きな課題が――

「発送を続けるためには送料をどのように賄っていくのかビジネススキームの構築が必要。例えば配送料を負担してもらうサブスクを運営するなど、支援の選択肢を増やしていきたい」（苔縄代表）
「いま配送料はどのように負担している？」（島津アナウンサー）
「私が負担しています」（苔縄代表）

　愛知県清州市から石川県まで物資を2トン分運ぶのに1回、数十万円かかるそうで、地震が発生してからすぐにサイトを立ち上げ発送を続けているため、これまでにかかった運搬費は300万円近く。

　それを今は苔縄さんが自己負担で賄っているため、運搬に関する協力体制を整えることが最大の課題だといいます。

そんな中、15日は物資のマッチングアプリの取り組みを知った岐阜の産業廃棄物を処理する会社が無償で運搬を買って出てくれ、被災地まで運んでくれました。

「現地に行って思ったのは、復興までにかなりの時間を要するだろうと肌で感じた。こういった我々の支援が長期的に続くことが大事」（苔縄代表）