いすゞの117クーペが今も愛される理由 丸目・エンジン音・内装、すべてが美しい名車に迫る
今、一斉を風靡した憧れの名車をレストアし、当時の風格を現代に蘇らせ楽しむというクラシックカーブームが、日本のみならず世界規模で盛り上がっています。今回は、世代を超えて根強いファンの多い、いすゞを代表する名車「117クーペ」についてお届けしていきましょう。
●いすゞの「117クーペ」とは?
いすゞ自動車といえばトラックのイメージが強いですが、2002年までは乗用車を手がけており、ジェミニ、ピアッツァ、ビックホーンといった名車を生み出したことで知られています。そんないすゞ車の代表格が、今回紹介する117クーペです。
117クーペが登場したのは1968年。イタリアを代表する工業デザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロが手がけた流線型なデザインは今見ても画期的ですが、当時のいすゞの技術ではこれを大量生産することができず、前期型には職人の手作業が多く費やされた、いわば「ハンドメイド」製と呼ばれています。
それゆえに、当時の価格で約170万円と破格でしたが、生産性の低さによる希少性で人気車としての地位を確立。いすゞのフラッグシップカーとして長年君臨し、現在は日本を代表する人気クラシックカーの1台として支持を集めています。
●丸いフォルムがチャームポイント
117クーペは、大きく分けて前期・中期・後期のバージョンがあり、人気があるのはクラシカルでかわいらしい前・中期の丸目タイプ。その中でもハンドメイドと呼ばれる前期タイプで、さらにガソリン量を制御する機械式のキャブレター仕様というクラシカルなタイプが人気です。ちなみに、電子制御のものは日本車で初のインジェクション車という歴史的背景を持ち合わせています。
フロントバンパーはコの字の一体型にはなっていますが、実際にはつないで溶接し、つなぎ目を消してメッキをかけるなど、とても手間がかかっています。
年代モノの車は、ゴム製の部分の劣化が進んでいるので、定期的につや出し材などでコートしてこれ以上の劣化を防ぐ必要があります。
●天然木を使った美しい内装
外装だけでなく内装にもこだわりが詰まっていて、ウッドパネルおよびウッドステアリングにはぜいたくにも天然木を使用。7連メーターも今では見ることのできないレイアウトです。こうした当時のデザインを維持するために、純正パーツにこだわる人も多いです。
●117クーペのスポーティな走りと独特のエンジン音
クラシックカーの維持で大切なのは、大事に保管するのではなく、実際走らせること。アクセル、ブレーキ、クラッチの駆動具合や、どこかで異音がしていないかを確認します。同時に、117クーペの独特なエンジン音と、キャブレター車らしい力強い走りなども堪能します。
走行後は、エンジンルームをチェックし液量関係を確認。普段からエンジンルームをきれいにしておけば、液漏れなどの不具合にも気づきやすいです。
今見ても強烈な存在感を放つ、いすゞ117クーペ。車の性質上、生産台数はあまり多くないですが、大切に乗られているものが多く、出会えるチャンスは充分! 117クーペをはじめとするいすゞ車を扱う専門店もあるので、往年の名車に興味がある人は、興味深くチェックしてみてください。