成功率10％の超難易度"蛇口" 製造現場に初めてカメラが入った！ユニーク蛇口を手掛ける「株式会社カクダイ」の裏側

2024年06月21日

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大阪に本社を置く蛇口メーカー「株式会社カクダイ（以下、カクダイ）」の岐阜工場に潜入！工場では、「お寿司型」や「おでん型」など、使う度に笑顔になる常識破りの“ユニークな蛇口”を製造していた。今回は、成功率わずか10パーセントの大人気商品「誰や！またメタボにしたん？!」の製造工程を初公開する。

【動画を見る】初公開！「カクダイ」の“おもしろ蛇口”常識破りの製造工程に密着！

職人泣かせの「メタボな蛇口」は全て手作業！

カクダイは、奇想天外でユニークな商品を手掛けることでも知られているが、中でも最も売れたのが、こちらの蛇口！

誰や！またメタボにしたん？!

商品名は、「誰や！またメタボにしたん？!（以下、「メタボな蛇口」）」。ぷくっとふくらんでおり、どこか憎めないメタボなボディーを再現している。

8年前に発売し、今も問い合わせがあるほどの人気ぶりだが、一体なぜ、こんなデザインを思いついたのか。「メタボな蛇口」の生みの親、多田修三副社長に話を聞いた。多田さんは、ユニークな蛇口の約7割を考案した、社内きってのアイデアマンだ。

多田修三副社長

「メタボな蛇口」は、“画家、サルバドール・ダリの「溶ける時計」のような蛇口を作りたい”との思いから誕生した。多田さんは、「 “デザインとかしょうもないことを言うなよ”と。俺たちの持ち味を、プロダクトデザインから離れたところで持とうということでスタートした」と話すが、岐阜工場の吉岡透工場長は、「作るのはとても難しいです。お恥ずかしい話、成功率は10パーセントぐらい…。10個に1個成功するかしないか」と内情を明かす。

そんな現場の声を多田さんに確認すると、「そんなことないでしょ。100個作って3個ぐらいしかできない。もっと厳しい(笑)」と予想外のコメントが。失敗が多いため大赤字だが、オンリーワンの商品を作り続けることが、会社のブランディングにつながっている。

現場の皆さんに「メタボな蛇口」を作ることになった時の率直な感想を聞くと、「あ～ってなりました。丸みと溝をどうしようかなと思って」、「本当にできるのかな？と思いました」とのこと。職人泣かせのデザインなのだ。

成功率わずか10パーセントの蛇口はどのように生み出されるのか？その製造工程を初公開！　完成に至るまでには“4つの関門”が待ち受けていた。

関門①型づくり

メタボな蛇口

スタンダードな蛇口の砂型は機械の力で押し固めていたが、「メタボな蛇口」の砂型は、全て手作業で作る。

「メタボな蛇口」は正面から見ると全体がゆがんでおり、左右対称ではない。複雑な形状の型を作る必要があるため、どうしても手作業になるのだ。「自由度が高く、自分たちの作りたいように作れる製造方法です」（吉岡さん）。

蛇口の砂型

まず、ざるで鋳物砂の塊を崩したら、専用の道具で枠に詰める作業を繰り返す。しかし、機械と違って手作業のため、砂型の強度を保つことができず、注いだ銅が漏れ出すリスクも！今回は10個の砂型を作ったが、吉岡さんもどこか不安な様子だ。

スタンダードな蛇口同様、ドロドロに溶かした銅を炉から容器に移し、砂型へと流し入れるが…