車いすを2秒で固定!福祉車両への乗車をスムーズにする「車いすワンタッチ固定装置」
車いすを福祉車両にのせると、床から固定フックが飛び出して車いすをしっかりと固定する。その時間はわずか2秒。車いすメーカーやバスメーカー、自動車メーカーなどの業界がタッグを組んで開発を進めた現在検証中のシステムだ。
さらに車いすを福祉車両にスムーズにのせられるようにする画期的なグッズも登場。誕生秘話について担当者に話を聞いた。
トヨタ産業技術記念館の駐車場に止めてあった1台の福祉車両。車いすをのせると、白いフックが車いすの下に設置された金属の横棒「アンカーバー」に引っ掛かり、ピタリと固定する。「車いすワンタッチ固定装置」と呼ばれるこの装置は、車いすメーカーやバスメーカー、自動車メーカーといったさまざまな業界が連携して開発している。
従来は介助者がしゃがみ、車いすに固定ベルトなどを引っ掛ける必要があった。車両に乗車する際に手間と時間がかかったが、「車いすワンタッチ固定装置」があれば立ったまま固定できる。
トヨタ自動車 稲熊幸雄さん:
「路線バスなどに乗車する際、“冷たい視線問題”が外出を阻害している要因になっています。それを少しでも省いていきたいです」
「車いすワンタッチ固定装置」は、路線バスで検証中だ。バスや船などで活用されるようになれば、車いすでの移動の幅が広がるかもしれない。
さらに車いすでの移動の助けになるアイテムもある。「レステップ」と呼ばれる黒いゴムでできた製品だ。
車いすを福祉車両などにのせるためのフラップ。路面との間に隙間ができると車輪が引っ掛かってしまうため、前輪を浮かせなくてはならず、介助者にも利用者にもストレスがかかる。
しかしレステップをフラップに両面テープで付けると、スムーズにのせることができるのだ。
レステップ開発者のきっかけは、介護施設でのボランティアでした。
トヨタ自動車 中島 幹夫さん:
「クルマに乗り込む時に段差があって、気分が悪くなる方がいました。『何とかできないか』とご相談を受けたんです。一度会社に持ち帰り、車いすのボランティアを行うチームの人たちと一緒に開発を始めよう、と」
すでに販売中のレステップ。障害のある人たちが自動車部品を作っている「こじまキャンパスさくら工場」で製造されている。
トヨタ自動車 中島さん:
「車いすを利用されている方が、自分たちの使うものを作っています。そうした1つの循環につながる商品なので、ぜひ広まってほしいですね」