全国初「市立病院が経営統合して地方独立行政法人」機能分化で経費削減 悪化する病院経営に光

全国初「市民病院同士が経営統合して地方独立行政法人」
2025年4月、愛知県半田市と常滑市の市立病院が経営統合し、新たな病院が誕生しました。市立病院同士が経営統合した狙いとは…
半田市にある「知多半島総合医療センター」です。全国的にも珍しい最大震度6強に耐えられる免震装置が日本免震構造協会の技術賞を受賞しました。
半田市 久世孝宏市長:
「いざというときに頼れる病院が、まさにこの地に誕生した」
知多半島総合医療センターが誕生したのは2025年4月。地下1階・地上5階建てで、34の診療科目と416の病床を備え、屋上にはドクターヘリ用のヘリポートもあります。この病院を運営しているのは「知多半島総合医療機構」。市立半田病院と常滑市民病院が経営統合して作った地方独立行政法人です。こうした形で市民病院同士が経営統合するのは全国初です。
医療設備への投資や維持管理費も削減
市民病院の統合の目的のひとつが、「医療機能の分化」です。市立半田病院が移転し、名称を変えた「知多半島総合医療センター」は、救命救急を担う高度急性期医療や先進的ながん治療に特化した病院に。
一方の常滑市民病院は「知多半島りんくう病院」と名前を変え、急性期を過ぎた患者のリハビリや、地域包括ケア医療を専門的に担う病院へと再編で機能を分けました。
知多半島総合医療機構渡邉和彦理事長:
「今後はいろいろな患者のニーズが変わってくるので、それに合わせてそれぞれの病院で求められる医療を実践するために再編することは十分あると思う」
病院が担う分野を分けることで、医師不足が叫ばれる中でも専門医を集中的に配置できるようになりました。また、それぞれの分野に必要な医療設備への投資や維持管理費も削減できます。
日本中で一斉に統廃合、もしくは役割分担の議論も
この取り組みについて専門家は…
奈良県立医科大学 今村知明教授:
「地域全体で急性期はこの病院がやる、慢性期はこの病院がやると役割分担することで共存できると思うし、そのときに地域全体で必要な病床数を考えてもらう。(半田と常滑の)2つの市民病院をこんな風に機能分化しているのは非常にいい例だと思う。全国的に病院の経営は非常に悪化している。実際に新しく入院する患者が減っていることが一番大きい。おそらくこれから日本中で一斉に統廃合、もしくは役割分担の議論が進んでいくのでは」