子どもの“百日せき”が急増 ワクチン切れる7~10歳ごろの感染目立つ 医師「我慢せず診断を」

激しいせきが長く続き、重症化の恐れもある「百日せき」の患者が子どもを中心に急増しています。愛知県でも今年の患者数は去年の約60倍に。移動の機会が増える夏休みを前に、感染を防ぐ対策を取材しました。
名古屋市西区のみわた小児科。今年は「百日せき」と診断される患者が多いといいます。
「例年そこまで患者さんが常にいるような感染症ではないので、だいたい1週間に1~2人が新しく診断されている今の状況は、例年にはない状況」(みわた小児科 三輪田俊介 医師)
子どもを持つ保護者には不安の声が広がっています。
「百日せき問わず、保育園などではいろいろな感染症を聞く」
「保育園から百日せきが出ましたと、4月に入ってすぐぐらいに通達があった」
「不安ですね、保育園にも通わせているので。常にせきしていたり、鼻水をたらしていたりする子が多いので、どうしてもうつってしまう」
17日診察を受けた患者にも陽性反応が。百日せきは通常の風邪と見分けづらいうえ、重症化するとけいれんや脳症を起こすこともあるといいます。
東海3県でも春ごろから感染の報告数が急増。愛知県では今年に入ってからの感染者が7月6日までに累計1247人に達し、去年の約60倍の多さとなっています。
三輪田医師は気になる症状があれば、早めに受診をしてほしいと話します。
「1週間ぐらいせきが続いて、その時点で(百日せきと)診断できて、治療ができたほうが長いせきの経過も短くなるし、薬への反応がいい。どんどんせきが苦しくなるだとか、軽症のせきでも1週間以上続く場合は、我慢せずに病院で診断を受けることが必要」(みわた小児科 三輪田俊介 医師)
コロナが落ち着き…

ではなぜ今、百日せきが流行しているのでしょうか。感染症に詳しい、公立陶生病院の武藤医師は…。
「一つに、コロナの3年間があり、他の感染症が全くなかった。コロナが落ち着いて他の感染症が増えているので、去年はインフルエンザ、現在は百日せきが増えている」(公立陶生病院 感染症内科 武藤義和 主任部長)
百日せきの重症化を防ぐワクチンは通常、1歳半までの間に合計4回を打っているといいますが、効果は10年ほどで切れるとされ、7歳から10歳ごろでの感染報告が目立つといいます。
「この疾患は、潜伏期間が2~3週間と言われる。感染している人と一緒にいてから発症するまでに3週間くらいかかる。発症するころには人にうつしているし、うつされた人も3週間してからしか気づかない」(武藤主任部長)
潜伏期間が長く、やっかいな百日せき。ふだん会わない人との交流機会も増える夏休みに気を付けることは。
「感染経路は一般的には飛沫感染と言われる。一番感染力が強い時期なので、夏に家族で会う、実家に帰るときにマスクをするなどして、できるだけ感染を予防することが必要」(武藤主任部長)