アパレルの技術を生かした、地元企業同士の取り組み。環境課題への対応を特別な活動ではなく、“日常のビジネス”として実装しようとする姿勢がみえてきました。
愛知発、海洋ごみを“繊維”へと再生
海岸・海洋に投棄されたペットボトルを、もう一度価値ある資源へ。そんな発想から生まれた取り組みが、企業活動のなかで広がっています。
愛知県に本社を構える、繊維商社のタキヒヨー株式会社が展開する、サステナブル素材「AQUAROBE®(アクアローブ)」もそのひとつ。
アクアローブの開発は、ファッション業界が抱える環境負荷に対する問題意識からスタートしました。衣料品の生産は、水資源や海洋環境と密接に関係。同社では、海洋汚染も自分たちが向き合うべき課題と捉え、素材開発の方向性を模索してきたといいます。
その答えのひとつが、海に漂流するペットボトルや、これまで廃棄されてきた漁網、魚のうろこなどを“繊維”へと再生する「アクアローブ」の開発。同社担当者によると、アクアローブは百貨店向けのレディースブランドや各種アパレル商品、グッズなどに採用され、活用の幅を広げているといいます。
岐阜企業と実現した環境配慮ユニフォーム

この素材が新たに使われたのが、岐阜県に本社を構える、物流企業の濃飛倉庫運輸株式会社のユニフォーム。2026年4月から、創立110周年の節目に合わせて導入されました。
タキヒヨー担当者によると、採用された生地は、実用性にも配慮。ストレッチ性や撥水性、速乾性に加え、紫外線カットやウォッシャブルといった機能を備えているといいます。さらに、反射材も取り入れられており、安全面もサポート。環境に優しいだけでなく、現場でしっかり使える仕様となっています。
また、今回のユニフォームには、約13,000メートルの生地を使用。同社担当者によると、1メートルあたり500ミリリットルのペットボトル約1.4本分を使用しており、計算すると約18,200本分の海洋廃棄ペットボトルが、新たな資源として生まれ変わったことがわかります。
“環境を守る”共感でつながる地元企業
今回の提案では、“共感”もポイントとなっていました。タキヒヨーでは、アクアローブを単なる素材としてではなく、その背景にあるストーリーごと伝えることを重視。海洋環境を守るというメッセージに共感する企業と組むことで、取り組みの意味をより深めてきました。

その点で、国際物流の担い手として、サプライチェーン全体での環境負荷低減に取り組む、濃飛倉庫運輸の姿勢がアクアローブのコンセプトと合致すると確信。結果として、“素材”と“企業理念”が結びついたかたちでの導入が実現したといいます。
循環スキームと共創で進める環境経営

タキヒヨーでは、環境保全を目指し、さまざまなSDGsな取り組みを実施。独自の循環スキーム「NO WASTE PROJECT」の推進をはじめ、オーガニックコットンやリサイクルポリエステルなどの普及、国際認証を取得した素材の展開にも力を入れているといいます。
さらに、Z世代や生産現場、異業種の企業と連携し、ウェビナーや産学連携を通じた対話の場を積極的に設置。製品を供給するだけでなく、業界全体の意識の底上げを図っているといいます。
同社は今後、こうした取り組みをさらに広げ、「社会課題の解決とビジネスの両立」を経営の核に据え、環境配慮型素材の展開や共創の取り組みを深化させる方針。
また、「アパレル業界のみならず、異業種を含めた多様な企業のサステナビリティニーズに応えることで、社会全体の持続可能性と自社のサステナビリティ経営の実現に注力してまいります」と今後の展望を示しました。


