
一番安い部屋で1泊20万円!? 名古屋城の目の前に超高級ホテル誕生 VIP誘致で400億円の経済効果 相次ぐ高級ホテル建設で“名古屋とばし”解消なるか

見た目はお城、中へ入ると圧倒されるほどの“超高級感”です。“ナゴヤキャッスル”の名で長年親しまれた跡地に開業したホテル。一番安い部屋で1泊なんと20万円! その全貌とは…?
城のような外観と豪華絢爛な内装 超高級ホテルが名古屋にオープン

10月1日、名古屋城の目の前にオープンした「エスパシオ ナゴヤキャッスル」。お城そっくりの石垣や、屋根の上で輝く金色の鳳凰が目を引きます。
開業当日の朝に行われたオープニングセレモニーには、名古屋市出身の武井咲さんらが登場し、会場を盛り上げました。

このホテル、見た目も大迫力ですが、中もこだわりが詰まっています。
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三英傑の甲冑が並ぶエントランス。

通路は、まるで異世界に通じているような輝きを放っています。

さらに、大きな階段を彩る巨大な壁画には、古代中国の神話に登場する伝説上の生き物たちが描かれていて、天井までもが金色。
東洋と西洋の融合を意識したデザインが特徴ということです。

このホテルで最も料金の高い部屋「鳳凰スイート」には、クッションや欄間など、さまざまなところにホテルのシンボルである鳳凰がデザインされています。名古屋城を独り占めできる窓からの景色も格別。
部屋に泊まれるのは数人ですが、経済界の要人などが来たときは、室内に設置された大きなテーブルを囲んで会議も開けます。

部屋の値段はなんと1泊約300万円! 最も安い部屋でも1泊約20万円という圧巻の価格です。
エスパシオエンタープライズ 田渕浩之社長:
「以前のホテルナゴヤキャッスルと圧倒的に違うのは、客室で海外や国内の富裕層のお客さまを取り込むのに十分なしつらえを用意した」

いわゆる”超高級ホテル”ですが、なぜ今名古屋にできたのでしょうか。中京大学の内田俊宏客員教授は、このように分析します。
中京大学経済学部 内田俊宏客員教授:
「来年のアジア大会の開催期間中は、各国首脳などVIPの他、世界の大物有名人たちが宿泊する可能性は高い」
来年の秋から開催されるアジア・アジアパラ競技大会では、各国からVIPクラスも多く来日するため、観光業が大チャンス。そういった人々の宿泊先の一つに、このホテルが選択肢に入るといいます。
中京大学経済学部 内田俊宏客員教授:
「(これまで)名古屋の場合、高級ホテルはあるがVIP用の部屋数が確保できないということで、宿泊は新幹線で移動して京都というケースが多かった。(今後は観光も宿泊も)名古屋で完結するということも可能になると思う」

富裕層も滞在するような宿泊施設が整えば、これまで逃してきた中部圏での観光のさらなる活性化につながるとのこと。こうした効果に期待して、名古屋市や愛知県もあわせて20億円を補助。地域一体となって事業に取り組んでいます。
エスパシオエンタープライズ 田渕浩之社長:
「(名古屋は)観光資源が乏しいといわれる地域ですので、このホテルに泊まりに来るのが目的となるホテルを目指します」
名古屋に相次ぐ高級ホテル “経済効果”と“MICE戦略”

実は今、名古屋で高級ホテルの建設が相次いでいます。
栄エリアに2023年に開業したTIAD(ティアド)には、1泊60万円から宿泊できるスイートルームが作られました。
同じく栄エリアには、ヒルトンの最上級ブランド「コンラッド」が2026年の夏ごろに開業を予定しています。
そして、名古屋駅再開発エリアでもハイアット系列の最高級ブランド「アンダーズ」が、名鉄と近鉄が合同で開発を進めている新ビルに入居することが発表されました。

なぜ今、高級ホテルの建設が名古屋で相次いでいるのでしょうか。そこには2つの大きな理由があります。
1つ目は『大きな経済効果』です。内田俊宏客員教授によると、今回開業した「エスパシオ ナゴヤキャッスル」の経済波及効果は、少なくとも年間400億円以上。 ※客室稼働率75~80%を想定
来年のアジア・アジアパラ競技大会など大きなイベントが開催されれば、さらに増える見込みということです。
2つ目は『MICE戦略』です。MICEとは、会議や学会など国際的なビジネスイベントの総称。愛知県と名古屋市は国際会議をこの地方でもっと開催したいという考えがあります。そのため、県と市は高級ホテルの新設や建て替えを行う事業者に最大20億円の補助金を出す制度も導入しました。
20億円という大きな金額ですが、市の担当者は「それ以上の経済効果があると見込んでいる」といいます。VIPや富裕層を呼び込めば結果としてこの地域一帯もうるおうということのようです。
大きなイベントやコンサートが名古屋で開催されず“名古屋とばし”と呼ばれることもありましたが、高級ホテルの建設を機にさまざまなイベントが名古屋で開催されるようになれば、名古屋が経済の中心になっていくかもしれません。