
大根の“小型化”や卵の高騰…具材の調達で『おでん』専門店に大きな痛手 練り物も大手各社が値上げを発表


10月になっても止まらない“値上げの波”は、これからの季節に恋しくなる「おでん」にも及んでいます。定番の大根も、高値だけでなく、猛暑により小ぶりとなっているようです。
■おでんがピンチ!大根・卵に練り物も
名古屋市熱田区の「金山おでん でーもん」は、素材のうまみを生かし、じっくりと煮込んだあさり出汁のおでんや、味噌おでんを提供する、おでん専門店です。 秋が深まるにつれ、恋しくなる「おでん」ですが、主役ともいえる大根の高値が続いています。

加藤調理長: 「大根は使用量が多いので、全体としては値上げの幅が大きいと思います」 大根の仕入れ価格は、2024年に比べて1本あたり15円ほど値上がりしました。店では多い時で1日30本使っていて、大きな痛手です。 さらに、こちらも欠かすことのできない卵も、1パック40円ほど高くなっているほか、練り物などの仕入れ価格も軒並み高騰していて、夏から一部の商品を10円から20円ほど値上げしました。 加藤調理長: 「暑い日が長くて“秋がない”みたいな。暑い時期はおでん以外に、串揚げとかお刺身とか日本酒を組み合わせてフェアをやったりして。どうしても暑いと難しい。ようやく涼しくなってきたので、これからかなと」 値上がりと、長引いた猛暑のダブルパンチ。 加藤調理長: 「値上げで苦労しているのは皆さん一緒だと思うので、もう少し(価格が)戻ってくれたら皆さん幸せになるのかなと思います」
■猛暑の影響で…大根が“高くて小ぶり”
家庭でも作りたいおでん。瀬戸市のスーパー「新鮮市場いせや」では、大根が税込み322円で販売されています。長く続いた猛暑や水不足の影響で、店頭に並ぶ大根は、例年よりサイズは小さめです。

山田英樹店長: 「例年に比べると細い感じで、もう少し太いサイズの方が、皆さんお喜びになられるかなと思っております」 卵も、名古屋地区のMサイズ1キロあたりの卸売価格は今年2月以降、320円台以上で高止まりが続いています。

山田英樹店長: 「卵についてはずっと高値が続いておりまして、このまま下がることはないのではないかなと」
■脇を固める練り物も…「業界は本当に苦しい」
大根や卵といった、おでんを支える具材の高値が続いていますが、紀文やマルハニチロなどの水産加工大手各社も、2025年に入って練り物商品の値上げを相次いで発表しています。 練り物が高騰している理由について、日本かまぼこ協会は2つの理由をあげています。

1つ目はメインの原料である「魚のすり身」が高騰していることです。アメリカ産のスケソウダラのすり身が、昨シーズン比で10%以上も値上げしています。現地のインフレや円安などの影響で、この後もさらに値上げとなる見込みです。 もう1つ、卵の価格高騰の影響も受けています。魚の身をくっつけるときに卵白を使うためです。 日本かまぼこ協会の担当者は「せめてもっと早く涼しくなってくれていたら。正直、練り物業界は本当に苦しいです」と話していました。