
米はいつ安くなる?新米の季節も5キロ4000円台が当たり前… 小売店の間では“争奪戦”も… 「高いと売れず安くしたら農家が困る」

(大石邦彦アンカーマン)
「新米の季節がやってきて、再びコメの価格が上昇しています。今いくらで販売しているのか、米店で聞いてみます」
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名古屋市中村区の米店「わりでんや」。農家から直接買い付けた、こだわりの銘柄米を販売しています。
(わりでんや 横井忠範代表)
「通常であれば、新米と古米を入れ替えで在庫を渡っていくので、常時30種類以上40種類くらいあるのが、去年あまりにも異常で売れてしまったので、古米がなくなってしまった。これでやっと種類が整ってきたところ」
現在、店頭に並ぶ新米は20種類ほど。その価格は…
(横井代表)
Q.新米は高い?
「間違いなく、過去一高い」
Q.過去最高ですか?
「間違いない。絶対だと思う」
1年前までは当たり前だった 5キロ2000円台
新米が出ても続く価格の高騰。ほんの1年前まで、5キロ2000円台が当たり前だったコメの価格は、今年3月から4000円台に。備蓄米の放出で一旦は下がりますが、いま再びあがっています。
小泉農水大臣はことし7月、こう話していました。
(小泉進次郎農水大臣)
Q.大臣が考えるコメの適正価格は?
「農家の努力が報われる価格にしなければならない。多くのコメ農家が大体(適正価格は)3000円台という認識を持たれている」
9月2日には…
(小泉農水大臣)
「農水省の推計では、順調にいけば56万トン追加で出てくる。新米が出てきてから1年の全体の総量として、どれくらい見込まれるか考えれば、一定の価格の落ち着きにつながり、コメの安定価格の実現。安定供給に向けて正常化への一歩につながる可能性はある」
小売店の間では「コメの争奪戦」も
そもそも農家にとって儲けのない水準だった「5キロ2000円台」が放置されていたことも問題ですが、今の価格高騰も、元は国がコメの需要を低く見積もったことが原因です。
ことしは去年より、56万トンの増産が見込まれているため、価格は落ち着くとされていますが、小売店の間では「コメの争奪戦」ともいえる状況が収まらないといいます。
(横井代表)
「(去年は)4軒の米屋がつぶれました」
Q.コメを譲ってくれという問い合わせも?
「0ではないです。責任が負えないから新しい業務店は受け付けていないと。本当に申し訳ないけど断っている」
高温障害に悩まされるコメ農家 ことしは?
一方、稲刈りを迎えているコメ農家は…
ここ数年、猛暑による高温障害に悩まされていた、愛知県長久手市のコメ農家・神谷時男さん。
ことし5月の田植えでは、作付けする3分の1を暑さに強い品種「あいちのこころ」に置き換え、収量の安定に期待を込めました。
(コメ農家 神谷時男さん・5月)
「去年は規格外というコメも結構あった。なんとかいいコメに、つやつやできれいなコメができるとうれしい」
(大石)
「収量も多くてね」
(神谷さん)
「ある程度の価格で売れると一番いいですね」
「去年よりは絶対に高い」
その出来は…
(神谷さん)
「ことしはものすごく暑かったけれど大丈夫。品質もいい。これだと一等米か二等米かなと思うほど品質がいい」
収穫された「あいちのこころ」。白く濁る高温障害はほとんどなく、品質はいいことが分かります。神谷さんの畑でも、見込み通り3トンのコメを収穫できる予定だと言います。
しかし、価格については…
(神谷さん)
「去年よりは絶対に高いと思います」
こう話す理由は、コメの価格を左右する「概算金」の引き上げです。JAが農家に前払いで渡す概算金。これに流通コストなどを上乗せしたものが、小売価格の指標となりますが、JAあいち経済連はことし、コシヒカリ60キロの概算金を2万8500円と、去年より1万円も引き上げました。
「主食だから安くあるべきは当然」
長年コメを売ってきた「わりでんや」の横井代表は、コメの高騰についてこう話します。
(横井代表)
「(5キロ)5000円まではいかないが、4500円はいってもおかしくない」
Q.消費者も高いコメを受け入れていくべき?
「僕はノーです。主食だから安くあるべきは当然だと思います。高いと売れない、安くしたら農家が困る。じゃあどうしたらいいか。流通にいる販売者として農家が直接売ればいいという結論に至った」
いま、次の政権を決める自民党総裁選の真っただ中。コメ作りを守りつつ、消費者の負担も上がり過ぎないようにする。
これは、国が取り組むべき極めて重要な課題です。
CBCテレビ「チャント!」2025年9月30日放送より