アジア競技大会まであと100日 入賞メダルの製造現場「造幣局」の内部にカメラが潜入

9月から愛知・名古屋を中心に開かれるスポーツの祭典、「アジア競技大会」。開催まであと100日となりました。11日に開かれたイベントでお披露目されたのは、「入賞メダル」。込められた繊細な技術、その製造現場にカメラが潜入しました。

アジア競技大会公式アンバサダーの松平健さん

 9月19日に開幕する、アジア競技大会。11日はその「100日前」を記念して、名古屋市内の各地でイベントが行われました。

 名古屋能楽堂では、愛知県出身の俳優、松平健さんが聖火リレーに使われるトーチを手に登場しました。

「大会アンバサダーに指名されたのが去年2月。その時はまだ先が長いなと思っていたのがいよいよ100日となった」(松平健さん)

 聖火リレーは8月22日から始まり県内各地をまわります。

 11日のイベントでひときわ目立っていたのは… 上位入賞した選手に渡される、「メダル」。初めてそのデザインが公開されました。

 多様な言語や文化。発展を遂げた人々がスポーツを通して1つになる様を、表面仕上げと形で表現したということです。

「鏡面のような平滑な仕上げから少し凸凹した凹凸のある、またそれぞれ高さが違いまして多文化・人の多様性みたいなことを表現できたらなと思いデザインしました」(デザイナー 志波大輔さん)

 大会に向けて製造が進む現場に、「ドデスカ+(プラス)」のカメラが潜入しました。

「造幣局」の内部に潜入

完成前の「銀メダル」

 向かったのは、大阪市。日本の貨幣の製造を引き受ける「造幣局」で大会メダルも作られています。

 特別に許可を得て、内部に潜入です。

「僕らが実際に作業している部屋を見ていただきます」(造幣局装金課仕上係 小野林翔平さん)

 案内された先は…

「こちらの部屋で作業をしています」(小野林さん)
「なんだか独特なにおいもします」(記者)
「色を付けるための液体に硫黄が入っているので温泉のようなにおいがします」(小野林さん)

 持っているのは完成前の「銀メダル」。仕上げの作業をテレビ初公開です。

「水と一緒に砂をメダルに吹き付けることで表面を荒らしていくというようなことをしています。傷がついて表面積がいっぱいになってそこに色がついていく。より深くしっかり(陰影を)出せるように荒らしていく作業です」(小野林さん)

 あえて、表面に細かな傷をつけることで、光沢具合が変化しているのがわかります。ここで、完成間際の銀メダルなのですが…温められた着色液につけてしまいます。

「ものの10秒浸しただけでこの色になるんですね」(記者)
「そうですね、あっという間についてくれます」(小野林さん)

“はがし”作業で独特の陰影がうまれる

はがし作業で陰影がうまれたメダル

 せっかくの銀色のメダルが、黒く染まってしまいました。実は、ここからが技術の高さが光る「はがし」と呼ばれる作業です。

 メダルの表面を手作業でこすり、この着色を徐々にはがしていきます。すると…陰影がはっきりしていくのが見えるでしょうか。

「こすって磨いて陰影を作っていく作業が一番僕らは力を入れている」(小野林さん)
Q:すべてを同じようにするには技術が重要か
「やはり経験ない者がやると真っ白になってしまったり、黒くなったりしまうため、その辺は確認や教え合いながらやっている」(小野林さん)

 「はがし」作業をする前と後では、一目瞭然。メダルに独特の「陰影」がうまれました。

 最後に機械で表面の質感を整え、リボンをつけてメダルの完成です。完成したメダルを特別に触らせてもらいました。

「こちらが完成したアジア競技大会の銀メダルです。重厚感があり、マットな質感ながら銀色が輝きを放っています」(記者)

メダルの材料の一部は小型家電から

名古屋市職員が持ち込んだ小型家電

 こうして完成した大会メダル。実はこのメダルの材料の一部は、私たちの生活にも身近なあるものが含まれているんです。

 4月。名古屋市役所では職員を対象とした小型家電の回収が進められていました。

 ハンディファンやノートパソコン、ドライヤーなどに含まれる金属が、メダルの材料として活用されています。

「地元開催めったにできることじゃないので、そこに自分も少しでも力になれたらと思っていたので、実際に形になるものですしすごく嬉しいなと思っている」

「ちょっとでもリサイクルとかを通じて(大会に)かかわれるとちょっと身近に感じるかなと思った」(小型家電を持ち込んだ名古屋市職員)

 再び、大阪の造幣局。エレベーターを降りると”ヒミツ”の部屋が。

「ここはメダルの製造関係者しか入れない場所で、今回特別に見ていただきます」(造幣局装金課仕上係 小野林翔平さん)

 そこには棚に並んだたくさんの箱。箱の中には大会メダルが保管されています。

 セキュリティの関係ですべてを見せられませんが、造幣局のこの部屋に保管されている大会メダルが選手たちの活躍を待っています。

「選手が(メダルを)かける瞬間をイメージしながら、楽しみながら作業している。造幣局として品質を大事にしているところもあるので、世に出しても恥ずかしくないものを作り続けたいので、今回のメダルもそれと同様に見ていただいて『立派なものだな』と思ってもらえたらいいなと思う」(小野林さん)

メダルを納めるケースは愛知県産のヒノキを使用

愛知県産ヒノキでつくったメダルケース

 木材に浮かび上がる、アジア競技大会のエンブレムデザイン。

 選手が手にするメダルを納める「ケース」の製造を手掛けているのは、愛知県の「豊田森林組合」です。

 ケースは愛知県産のヒノキから作られています。

「手触りがよかったり暖かかったりするので、手に取ったときのやさしさがある。ヒノキはもともとにおいがあるので、癒し効果があったり香りがあってとてもいい木でつくらせてもらいました」(豊田森林組合 加工グループ 上野一美さん)

 1本の丸太から切り出されていて、つなぎ目はなく美しい形状が特徴的です。

「木は1~2mm湿度で変わってきてしまう。きっちりと作っても湿度の関係ではまらなくなってしまったり、ゆるくなってしまったりすることがあるので、そこが木って大変で難しいところ」(上野さん)

 完成したメダルケースは…。

「こちらが実際に選手が手にするメダルのケースです。重さとしては軽くて、触ってみると木ならではのぬくもりのある手触りです」(記者)

 アジア競技大会、アジアパラ競技大会に向け、約6500個のケースがつくられるそうです。

 組合は、愛知県産の木材の魅力を、国外も含めて知ってもらうきっかけになるとして期待しています。

「愛知県の大会を目指して練習してきた選手たちのメダルを入れて、また愛知県を思い出してもらって、振り返ってもらえるとありがたい。木って優しい、柔らかい、あたたかい、と感じていただけたらありがたい」(上野さん)

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