熊本地震から10年が経ちました。課題となったのは、避難生活の中で亡くなる「災害関連死」です。その教訓は東海地方の備えにどう生かされているのか取材しました。
■防災士の女性職員の視点で…岐阜県大垣市の取り組み
熊本と大分で278人が犠牲となった熊本地震では、このうち228人が避難生活のストレスや疲労から命を落とす「災害関連死」だったことも課題となりました。 当時、避難所には段ボールベッドや間仕切りなどが配備されておらず、届くまでのおよそ1カ月間、雑魚寝を強いられ、プライバシーや衛生面の問題が浮き彫りに。 こうした避難生活を少しでも改善しようと取り組みをすすめる岐阜県大垣市では、「発泡スチロール製のベッド」を導入しました。
大垣市危機管理課の担当者: 「床から少し上に浮くことで介助もしやすいですし、妊婦さんにも安心して寝ていただけるものになります」 ベッドは発泡スチロール製で重さは5キロほど。女性でも簡単に持ち運びでき、パーツを差し込むだけでおよそ1分で組み立てられます。 防災士の資格を持つ女性職員の視点で、地震の発災直後から安心して過ごせるよう導入したといいます。
ほかにも、段ボール製のベビーベッドもあり、赤ちゃんがいる家庭でも安心して避難できるよう整備を進めています。 さらに2026年度、市内32カ所の避難所全てに配備したのが、1000リットルの水を貯水できる組み立て式タンクです。
2024年の能登半島地震で、被災地支援にあたった職員が痛感したのが、“生活用水の確保”でした。 タンクがなければ給水車が1つの避難所にとどまり、ほかの避難所に水が行きわたらない状況を目の当たりにしたといいます。 大垣市危機管理課の担当者: 「水源地から給水車が来て、そのままここに水を貯水できる。給水車がそこにとどまることなく次の避難所にも行けるということで、効率的に水を届けられるように」
■“車中泊”の支援に取り組む愛知県豊田市
熊本地震では、熊本県内で避難をしたおよそ7割の人が車中泊を経験しました。問題となったのが、長時間同じ姿勢でいることで血の塊が血管に詰まる「エコノミークラス症候群」で、最悪の場合は死に至ることもあります。
そこで愛知県豊田市が5年前に作成したのが、「車中泊避難ハンドブック」です。 豊田市防災対策課の担当者: 「エコノミークラス症候群を予防するということで、体の血流がよくなるように、横になって寝ることがとても大事かと思います」 例えば、乗用車の後部座席のシートを倒して、トランク部分から後部座席がフラットな状態になっても、足元には隙間が残ってしまいます。
こういった場合を想定し、ハンドブックでは、衣装ケースや段ボールなどを使って隙間を埋めることなどが指摘されています。 さらに豊田市では、エコノミークラス症候群を予防する「着圧ソックス」などを市が備蓄して、車中泊の支援に取り組んでいます。
各自治体で対策が進む中、新たに国は、避難所での1人あたりの居住スペースを広くすることや、トイレの数を増やすことなどを自治体に求めています。 豊田市防災対策課の担当者: 「避難所自体の環境改善はされるんですけれども、一方で避難所で収容できる人数が大幅に削減されてしまいますので、そういった課題に今直面しているところです」 熊本地震から10年この地方でも備えは着実に進んだ一方、その改善に終わりはありません。


