熊本地震から10年が経ちましたが、避難生活の中で亡くなる「災害関連死」の防止は大きな課題です。 専門家は、避難所の環境で最も必要な『TKB(トイレ・キッチン・ベッド)』の改善が不十分だと指摘していますが、“支援の責任は市町村”という現行の制度の限界もあるようです。
■最重要『TKB』が不足…避難所の“先進国”イタリアは
避難所・避難生活学会の水谷嘉浩代表理事は、「避難所の環境はほとんど改善されていない」と話していて、特に最も必要な『TKB(トイレ・キッチン・ベッド)』が不足しているといいます。
トイレは“清潔・快適で十分な数”、キッチンは“あたたかい食事”、ベッドは“簡易ベッド”が不十分だということです。 比較で分かりやすいのが『イタリア』です。イタリアの避難所では、下記の対応がすすんでいます。
・トイレは衛生的 ・キッチンカーがあり温かい食事を提供 ・テントもあって簡易ベッドがある さらに、この態勢を整えるのにかかる時間が、トイレとベッドは6時間以内、キッチンも12時間以内に、この基準が徹底されているということです。
■日本は“避難所ガチャ”状態…支援の責任は「市町村」に
なぜ日本ではイタリアのようにならないのでしょうか。 避難所・避難生活学会の水谷嘉浩代表理事: 「法律では、被災者の支援をする責任があるのは『市町村』となっているわけです。お金の面もそうですし、リソースの違いがあって、避難所間でばらつきが出る。わかりやすく言うと『避難所ガチャ』みたいな状態になってしまう」
水谷さんは「日本は避難所の再現性がない」と指摘します。 いつでも、どこでも、どんな規模でも、誰がやっても、同じレベルの避難所を運営できる「再現性」が大事ですが、日本は市町村が設置・運営するため、財政力やマンパワーにも格差が生じてしまいます。
一方で、イタリアは大規模災害の場合、市町村は避難所にノータッチで、国や州がTKBを備えている拠点からユニットごと運んで、設置・運営するということです。 水谷さんは、日本がこうした態勢を組むためには、災害に関する法律を根本的に変える必要があるとしています。


