年間17万トンの廃棄ゴムを宝の山へ 豊田合成が挑む自動車業界の悲願「ゴムの完全リサイクル」

自動車部品メーカー「豊田合成」が、これまで実用化が難しいといわれていた合成ゴムのリサイクル技術を確立し、業界の注目を集めています。

車に使われるゴム製品

2025年12月に発売されたトヨタ自動車のSUV「RAV4」。

実はこの車、これまで実用化が難しいと言われていたゴムのリサイクル材が使われています。ゴムのリサイクル技術の実用化に成功したのは、自動車部品メーカーの「豊田合成」です。

この会社が国内トップクラスのシェアを誇るのが「ウェザーストリップ」です。

豊田合成・社員:
「こちらが当社がつくっている『ウェザーストリップ』です。外からの雨・ほこりを防ぎ、振動を止めるなどの車の快適性を出す製品になります」

廃棄ゴム

ウェザーストリップの製造現場。練った合成ゴムの原料に硫黄を混ぜて弾力を与えます。それを細く成形するのですが、その過程でどうしても生まれるのが端材や不良品などの廃棄ゴムです。

国内で排出される廃棄ゴムの量は、年間17万トンに上ります。ただこの廃棄ゴム、溶かせば何度でもリサイクルできる鉄やアルミとは違い、リサイクルしにくいとのこと。

豊田合成 小林室長:
「ゴムは一度固めてしまうとリサイクルしにくい。廃棄物は燃やすなど環境によくない処理になってしまうことが、ゴム業界全体の課題にはなっています」

リサイクルのための部品

業界の悲願とも言えるゴムのリサイクルを可能にしたのはこちらの部品。

豊田合成 小林室長:
「このように回転します。この間をゴムが通っていきます」

合成ゴムを再び原料に戻すには「脱硫」。炭素とつながっている硫黄を取り除かなければなりません。ただ問題になるの「臭い」です。脱硫したゴムはとにかく臭い。そこで考えられたのが…。

豊田合成 小林室長:
「水を強制的に入れて、その中で気化して水蒸気が発生する。その水蒸気と、中で発生したゴムの臭気成分を一緒に出してしまう。」

臭いの成分を取り除く

脱硫したゴムが臭うのは、脱硫の過程で臭いの成分が生まれるからです。そこで豊田合成は、その臭いの成分を水蒸気と一緒に取り除く技術を開発しました。

果たして本当に臭いは取れたのか。開発当初の再生ゴムと、最新の再生ゴムの臭いの強さを測りました。開発当初の再生ゴムの数値は853。一方、最新の再生ゴムは263。およそ3分の1以下です。

豊田合成 小林室長:
「2~3年かけて、このレベルまで落とすことができました」

これまでの再生ゴムは臭いが強く、製品に混ぜるのも5%が限界でしたが、今では20%まで配合可能になりました。

臭いを確認

1月、中部地方のゴム関連製品のメーカーなどが集まり、技術説明会が開かれました。再生ゴムのサンプルを手にした関係者が、まず真っ先に取った行動は…。

関係者:
「違うね、全然臭わない」

豊田合成 齋藤社長:
「みなさん前のめりに『ぜひ使ってみたい』という声を聞いていますし、業界の競争力向上を支えるような技術になれば」

日本経済新聞 石原記者:
「将来的に豊田合成は、製造過程で出る廃棄ゴムだけでなく、廃車から回収したゴムのリサイクルも視野に入れています。今後は業界全体を巻き込んだ廃棄ゴム回収の仕組みづくりが課題となります」

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