
学校が苦手な子どもたちにも給食を 不登校の小中学生に給食を無料で提供 学校給食センターを安心できる居場所の一つに 岐阜・本巣市

岐阜県本巣市が、不登校問題に対する新たなアプローチを始めました。栄養満点の給食を通じて、子どもたちが社会とつながるきっかけづくりを目指す、全国でも珍しい取り組みとは?
学校給食センターに「もとまる食堂」オープン
本巣市教育委員会は、市の学校給食センターの会議室を「もとまる食堂」として開放し、学校に通えていない小中学生に無料で給食を提供する取り組みを始めました。
本巣市の小中学校に在籍し「学校に行きづらい」と感じている子どもなら誰でも利用可能で、付き添いの保護者も1食254円で食べることができます。
利用するには学校を通じた事前申込みが基本となっていますが、子どもたちの心の状態を考慮して、当日でも柔軟に受け入れる体制を整えているということです。
6月16日(月)に開催された第1回目の「もとまる食堂」には7人の児童生徒とその保護者が参加し、給食を堪能しました。メニューは、本巣市産の米を使用したハヤシライス、ニジマスのフライ、グリーンサラダ、牛乳です。
参加者からは「ハヤシライスがおいしかった」「学校とは違って普通の食堂みたいでよかった」といった感想が寄せられました。
教育委員会の担当者は「子どもたちにとってできるだけ落ち着いた環境を整えていくことが必要」と振り返りました。
おいしい給食が社会とつながるきっかけに…

文部科学省は不登校を「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者をのぞいたもの」と定義しています。
同省が公表するデータによると、2023年における不登校の児童生徒数は全国で34万6482人となり11年連続で増加。状況は深刻化しています。
本巣市でも同様に増加傾向にあり、喫緊の課題となっていますが、対策を講じるうえで最も大切にしているのは「どこかで人とつながり、人との関わりの中で学びや育ちの機会をつくり、社会的自立に向けて支援すること」だといいます。
これまでにも自分のペースで学習や生活を送ることができる「本巣の学び舎」をはじめとする、個々のケースに合わせた支援を行ってきたものの、年間100日以上の欠席者もいたことから、今以上に子どもたちが安心できる居場所づくりができないかと検討が進められていました。
そして、同市の教育長がかねてより持っていた「学校に来られていない子どもにも、栄養満点でおいしい本巣の給食を食べさせてあげたい」という構想から、給食センターを“居場所”として活用する着想を得て「もとまる食堂」を開設。給食を通して子どもたちが社会とつながるきっかけづくりを目指すということです。
今後は週1回程度の継続的な開催が予定されていて、学校が苦手な子どもたちとその家族にとって新たな支援の拠点となることが期待されています。