相次ぐマダニによる感染症で亡くなる事例 専門家「刺された認識ないと風邪と診断されやすい」

東海地方ではマダニが感染源とみられる感染症で亡くなる事例が愛知や三重で相次ぎました。原因と有効な対策を専門家に取材しました。
ここ最近、マダニによる感染症で亡くなる人が東海地方で相次いでいます。愛知県豊田市では6月に入ってから50代の女性と90代の男性の2人が死亡。50代の女性は草むらで除草作業をしていたといいます。
また、三重県では感染症にかかったネコの治療にあたった獣医師が死亡したことがわかっています。死因とみられているのが、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)です。
厚生労働省によると「SFTS」とは、主にSFTSウイルスを保有するマダニに刺されることなどにより感染するダニ媒介感染症です。
発熱や嘔吐とともに血小板などが減少し、致死率は1~3割ほどになるといいます。
国内ではここのところ、毎年100人以上が感染しているといいますが、どのようなところに注意すべきか専門家に教えてもらいました。刺されないためには、まず前提として、虫よけスプレーと肌を出さない服装が重要です。
マダニの危険は身近に

「シダ植物が群生している。こういうところにる」(愛知県ペストコントロール協会 森重樹さん)
ひざ下ほどまで生い茂った草。イノシシなどが通ったとみられる獣道があるところに動物の血液などをエサにするマダニが潜んでいるといいます。
白い布を広げ、ゆっくり丁寧に何度も表面をなぞります。すると…。
「点がありますね、これがマダニです。意外と小さい。マダニの認識がないと見逃してしまう」(森さん)
見つけたマダニは1円玉と比べてこの大きさ。動かなければゴミとの区別がつきません。
「かまれた人で多いのは、“ひざ下”。くるぶし・ふくらはぎとか皮膚が柔らかい所」(森さん)
野生動物が街中に現れたときに、マダニを連れてくることもあります。
「(マダニは)動物ならなんでも良いので、我々が飼っているペットにもつく」(森さん)
もしも人間が刺された場合、かかるのは皮膚科だといいますが…。
「マダニに刺された認識がないと、風邪と診断される可能性がある。症状が出る前に山に行ったのか、湿疹があったのか、そういった原因で発熱がある場合はSFTSを疑って医師に話すのがいい」(森さん)
マダニに刺されないためには?

マダニに刺されないためにはどうすればいいのでしょうか。
1.草むらや藪に注意
低い草や木の葉先にいて、人や動物に移動することを狙っています。
2.肌を露出しない服
靴下をズボンにかぶせるなど、重ねることも対策になります。
3.虫よけスプレーを足元まで
4.不安な場合は家に入る前に、上着などを袋に入れて殺虫スプレーをかけると死滅させることができるということです。