「心がからっぽの感覚」名フィルが5か月ぶり再開 新人フルート演奏者に密着

中京テレビ 「キャッチ!」 7月16日放送より


 約5か月ぶりの演奏会。涙のアンサンブルの舞台裏を取材しました。

 

 7月10日、愛知県芸術劇場コンサートホールで、名古屋フィルハーモニー交響楽団(名フィル)の定期演奏会が開かれました。

 新型コロナウイルスの影響で、2月に演奏会を中止して以来、約5か月ぶりの公演です。

 

 この演奏会を特別な思いで迎えるメンバーがいました。フルート奏者の満丸彬人さん。実はこの日が入団後、初の演奏だったのです。

「ここまではすごく長く感じたんですけど。なんか違う緊張感というか独特でしたね」(満丸彬人さん)

 

 独特な雰囲気は、オーケストラのリハーサルからみられました。

 少しでも“密”を避けるため、演奏者が座るイスの間隔を約1.5メートルあけてセッティング。前回の定期演奏会と比べると、編成の人数が違い、間隔があいているのがわかります。

 

 ソーシャル・ディスタンスであいたわずかな距離は、オーケストラ全体に影響が出ることもあるといいます。

「アンサンブルのためには、すごく近寄るって言われていたのが、まったく逆になってしまうので、ちょっと戸惑う」(楽団員の女性)

「久しぶりにうまくできるかなっていう不安と、僕が入団して初めてのリハーサルだったので」(満丸さん)

 

 中学からフルートを吹き始めた満丸さん。プロの演奏者を目指し、ヨーロッパへ留学。国内の交響楽団の試験を受け続け、今年3月、あこがれの名フィルのメンバーとなったのですが…。

「ちょうどすべての公演がキャンセルになったタイミングだったので。心がからっぽになっちゃうような感覚ではありましたね」(満丸さん)

 自粛期間中は、ひたすら家で練習していましたが、一時はフルートを吹けなくなることも考えたといいます。

 前向きになれたのは、人前で演奏できるという“特別な思い”。

「演奏できなかった期間の、みんなのいろんな思いがある。音が重なったときに、そのエネルギーってすごく大きなものになる」(満丸さん)

 

 “新しい生活様式”での演奏会の再開。入場時には検温・マスク着用、チケットは客が自らもぎるなど、感染予防対策が徹底されました。

 

 演奏は1曲だけ。オーケストラも弦楽器を7人減らし、少し距離をとって臨みました。

 名フィルの思いを込めた演奏会、アンコールはありません。でも、約5か月ぶりの演奏に拍手は鳴りやみませんでした。

 

「僕らが入場したときから、お客さんの雰囲気があたたかくて、“待ってました”みたいな雰囲気を感じた。本番でしか出ないエネルギーみたいなのが、久しぶりに感じられてとても刺激的でした。名フィルを応援してくださる人が多いんだなっていうのを思いました。がんばります」(満丸さん)

 満丸さんは演奏を終え、晴れやかな表情をみせていました。

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