新アリーナ建設計画“賛成多数” 市長「速やかに事業継続に向けて進んでいきたい」 愛知県豊橋市

有権者がそれぞれの”一票”を投じた20日。この街は一段と熱を帯びていました。愛知県豊橋市で、新アリーナ建設計画の是非を巡り行われた住民投票。その結末は?
119年にわたる豊橋市の歴史で、初めての実施となった「住民投票」。
工事が中断している、市内中心部への新アリーナ整備事業を「継続」するのか、それとも「白紙」にするのか。
20日の夜、喜びに包まれていたのは、事業継続「賛成派」のグループでした。
「ずっと負けると思っていたから、本当にウソみたい。(新アリーナを整備する)豊橋公園が、吉田城とともに豊橋の一番自慢したいものの1つ。そういう場所に、またなることは間違いない」(新アリーナを求める会Neo 小林佳雄代表)
アリーナの建設は、すんなり進まず

市が2016年に立ち上げた、新アリーナを核としたまちづくり計画。
豊橋公園内への建設が検討されていましたが、一部の市民からは駐車場の整備に課題があるなどとして、反対の声があがります。
反対派の市民グループによる署名運動などもありましたが、市は去年9月、事業者と約230億円に及ぶ契約を締結。
このまま、新アリーナ建設が進む流れかと思いきや――
計画に反対を訴えてきた長坂尚登氏が、現職を破り初当選。
長坂市長は公約通り、事業契約の解除に向けて動きますが、新アリーナ建設計画の賛成派が多数を占める市議会は猛反発。
対立は激化し、新アリーナ建設計画の行方は、最終的には住民自身の手に委ねられました。
賛成票が上回る結果に

住民投票の投票率は、65.7%。
愛知県の参院選の投票率を約5.5ポイント上回った、その結果は――
「賛成」が10万6157票。
「反対」が8万1654票。賛成票が上回る結果となりました。
住民投票は、法的な拘束力はありません。
ただ条例には、「市長及び市議会は、住民投票の結果を尊重しなければならない」としていて、今後、事業の継続に向けた動きが加速するとみられます。
反対の票を投じた人は…

ただ住民投票の結果は、賛成派の「圧勝」だったわけではありません。
投票した人のうち、約43%を占める、反対の票を投じた人は――
Q.賛成と反対が街を二分する状況については
「それはもう仕方がない。個人の考えが二分になるような興味があったということ。もうみんな決まったことだから、それに従うって私は思う」(反対の票を投じた市民)
「お年寄りにはあまりメリットがなくて、企業にメリットがあるような気がする。それと豊橋公園は壊してほしくない」(反対の票を投じた市民)
Q.ノーサイドの気持ちになれる
「なれませんね」(反対の票を投じた市民)
「ノーサイド」の結末を迎えられるのか

市を二分した、「新アリーナ建設計画」。
「議論して考えて結果が出たら、それはノーサイドでという風になると思っている」(豊橋市 長坂尚登市長)
長坂市長は、6月の取材に、「ノーサイド」という言葉を強調。
はたして市民の「納得」を得て、「ノーサイド」の結末を迎えられるのか。
市長が取材に応じました。
Q.賛成多数を受けて
「賛成多数という結果をしっかり受け止めて、『(アリーナ建設)事業を継続してほしい』という市民の選択だと判断して、そのように進めていく。すぐ明日やると明言できる状態ではないが、速やかに事業継続に向けて進んでいきたいと考えている」(長坂市長)
Q.反対派への説明は
「賛成の人や反対の人に対して、この人に対してどうといったことは具体的には考えていないが、交通環境のことも含めて、子ども世代・孫世代にとっても負担にならない、負担を残さないような、良い事業となるようにしていきたい」(長坂市長)