「美肌の湯」温泉旅館が突然閉業 元従業員が語る異様な経営 料理に産地偽装の疑惑も 岐阜・池田町

7月末、岐阜県で人気の池田温泉旅館などが営業を突然停止しました。前触れもなく働き先を失った従業員の男性がメ~テレの取材に応じ、運営会社の異様な実態を語りました。
「あの社長では仕方がない。多分やっていけないと思ったので。まさか夜逃げまでするとは思わなかったが…」
こう話すのは「池田温泉新館」の飲食店「たち川」で働いていたという男性。給料が未払いのまま、働いていた飲食店と旅館が突然閉業しました。
「(現在も社長とは連絡が)とれていない。もういい加減にしてほしいというのはあった」(「たち川」運営の飲食店 元従業員)
地元で知られた温泉宿にいったい何があったのでしょうか。
ぬるぬるとした泉質が特徴で、「美肌の湯」として地元や観光客から親しまれている「池田温泉」。
池田町の関係者によりますと、「池田温泉新館」の2階と3階にあった宿泊施設や飲食店が営業を停止したのは、7月末のこと。
「新館」1階の大浴場は池田町が運営していますが、今回営業を停止した宿泊施設と飲食店は、町が委託した地元の企業「たち川」が運営していました。
町への支払いを滞納して「夜逃げ」

「たち川」は町に支払う施設の利用料など約230万円を滞納。営業停止を告げる張り紙だけを残し、姿を消しました。池田温泉の総支配人は戸惑いを隠せません。
「7月31日に事業停止するという貼り紙が入り口にされていて、初めてわかった。非常に心苦しいと言うか、残念」(池田温泉の総支配人)
総支配人の目には、「たち川」の経営が切羽詰まっているようには見えなかったようですが…。閉鎖した飲食店で7月末まで働いていた従業員の男性は、数カ月前から異変を感じていたと話します。
「GW明けくらいから(お客さんが)少しずつ減っていて、(社長が)『暇なのでもう来なくていい』『夜やることないから出てこなくていい』という感じでずっと休みだった」(「たち川」運営の飲食店 元従業員)
料理の原材料の産地も偽装か

さらにこの男性によると、1年ほど前から客に提供する料理の産地を偽装していたといいます。
「メニュー表には国産とか地元の野菜とか書いてあるのを、普通にスーパーで買ってきてそれを出す。(スーパーに)買いに行くのは社長本人。よくあるのは値引きのものを買っていた」(「たち川」運営の飲食店 元従業員)
今年5月のメニューには、「静岡県清水産本鮪」や「北海道産紅鮭」とうたっているものの、実際には外国産が使われていたということです。これが事実なら、男性も“産地偽装”に加担していたことになります。
Q.それを悪いこととは思わなかった?
「うちらが言っても多分変わらないと思うので、本当は出してはいけないんですけど、社長の指示でそういう風になっているから」
Q.お客さんをだましたことについては?
「申し訳ないなと思います」(「たち川」運営の飲食店 元従業員)
町有施設を無断利用してクラファンの疑いも

問題はこれだけにとどまりません。
「こちらのクラウドファンディングのサイトで、『たち川』は2000万円もの出資を募っていました」(メ~テレ 梅谷悠祐 記者)
出資の名目は「大浴場の修繕費用」などとされていますが、池田温泉旅館にある大浴場は池田町が運営しているため、出資を募る目的として、つじつまが合わないことになります。
「無断で町有施設をクラウドファンディングで利用されたので、町としては不本意です。遺憾ですね。残念でなりませんでした」(池田温泉の総支配人)
利用客からも不安の声が。
「それで印象が悪くなったら嫌だな。1階の温泉まで」(利用者)
「上の飲食店でよく食べていた。提供メニューが少なくなっていったので、おかしいなと。ちょっと残念ですね」(利用者)
池田町が運営する「新館」1階部分の大浴場については、今も通常通り営業が続いています。
こうした疑惑について「たち川」や担当の弁護士に連絡を試みましたが、つながらず、回答は得られていません。