冬本番になってもまだクマ出没、警戒続く クマ専門家「あと1カ月で大半は冬眠するはず」

岐阜県山間部で30cmを超える積雪を記録するなど、冬本番です。
各地で人を襲うなど私たちの生活を脅かすクマも冬眠かと思いきや、まだ警戒が必要なようです。
一面の雪化粧となった岐阜県白川村の世界遺産「白川郷」の合掌造り集落には、5日朝も多くの観光客が訪れていました。
こうした山間部で特に気がかりなのがクマ。
白川村では、11月以降クマの目撃情報は確認されていませんが、白川郷と同じ豪雪地帯の長野県野沢温泉村では12月4日、雪かき中の男性がクマに襲われて大けがをしました。
国の重要文化財に指定されている白川郷の「和田家」では、本格的な冬を迎えた今もクマ対策を続けているといいます。
「柿の木に近づかないよう、木に登れないように鉄のトタンの波板を巻いて対処してあるが、まだ取らずに巻いたままにしてある。これだけ雪が降ればクマは冬眠に入って(人里に)いないはずだが、白川郷も気を付けないといけないとやはり思ってしまう」(和田家 和田正人 館長)
三重・熊野市では2日に目撃情報

また、三重県熊野市飛鳥町小阪の国道42号の近くでは12月2日、市民から「クマとみられるもの」の目撃情報がありました。
12月に入ってからも目撃されるクマ。
熊野市に隣接する尾鷲市の観光物産協会では、鈴やスプレーといったクマ対策グッズを一年を通して、無償で貸し出しています。
「尾鷲の山は雪山ではなく、比較的暖かい冬なので、冬眠はあまり考えていない。安心して歩いてもらえるよう、冬でも貸し出す予定」(尾鷲観光物産協会 梅谷陽子 事務局長)
尾鷲市では2024年1月にクマが目撃されていて、冬の時期でもクマが出没した想定の訓練を行っています。
「冬でも暖かい地域ではあるので、どこからクマがこちらの山に動くかわからないので、しっかりと準備をし続ける必要がある」(梅谷事務局長)
専門家「12月も警戒が必要」

本来なら冬眠に差しかかる12月に入っても、警戒が必要なクマ。
クマなどの生態に詳しい岐阜大学の浅野玄准教授が考える原因は、「個体数の増加」と「どんぐりの不作」です。
「通常であれば、高山や飛騨のあたりでは冬眠に入っていてもおかしくないが、山の中でエサを食べられないクマが出てきてしまって、エサを入手しやすい人里のほうに出てきてしまう」(浅野准教授)
一方、三重県の場合は、比較的暖かい気候が関係していると考えられます。
「紀伊半島は岐阜と比べると冬も温暖なので、どんぐりを探しやすい状況にある。ギリギリまで食べて冬眠する時期を遅らせようとする行動をとる個体がいる」(浅野准教授)
「あとひと月ぐらいで大方のクマはもう冬眠してしまうと思う。これまでどおり、一定の警戒を続けながら、過ごしていただければいいかなと思います」(浅野准教授)





